運良く見つかった、超短命であるはずの系外惑星

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準巨星のすぐそばを公転する巨大惑星が発見された。このような場所にある巨大惑星は時間が経つと中心星の潮汐力によって破壊されてしまうと考えられているが、今回見つかった惑星はそうなる前に運良く見つけられたようだ。

【2016年7月12日 アストロバイオロジーセンターAarhus University

東京工業大学、東京大学、アストロバイオロジーセンター、国立天文台などの研究者らが参加する国際共同研究チーム「ESPRINT」が、NASAの探査衛星「ケプラー」による観測データと地上からの追観測を組み合わせ、準巨星の周りを公転する巨大惑星を発見した。

中心星のK2-39は、みずがめ座の方向に位置する12等級の星で、太陽の約4倍の大きさを持つ。発見された巨大惑星K2-39bは直径が木星の7割程度で、中心星の直径のわずか1.7倍しか離れていないところ(太陽から水星までの約7分の1の距離)を約4.6日で公転している。

K2-39系と太陽系との、大きさや距離の比較
K2-39系と太陽系との、大きさや距離の比較(提供:OLE J. KNUDSEN)

準巨星は太陽のような恒星が年老いて膨らんだ天体である。こうした星の近くを公転すると惑星に非常に強い潮汐力がかかるため、惑星は短時間で破壊されてしまうと理論的に予想されており、実際に準巨星のすぐそばを公転する巨大惑星はほとんど見つかっていなかった。K2-39bは惑星が破壊される前にたまたま運良く発見されたのだろう。あるいは、潮汐力による惑星の破壊には理論的な予想よりも時間がかかることを示しているとも考えられる。

「もしこの惑星がこれから破壊される段階にあるのなら、今後の継続的な観測によって惑星の軌道の減衰が観測されるかもしれません」(デンマーク・オーフス大学 Vincent Van Eylenさん)。

年老いた恒星を公転する惑星の研究は、恒星が死ぬ時に周囲の惑星がたどる運命の理解につながる。これから数十億年後に太陽が年老いて膨らんでいく時に、太陽系の惑星にどんなことが起こるのかを理解する一助にもなるだろう。