緑であるのは簡単ではない、色が語る銀河の進化
【2016年7月5日 RAS】
英・ダーラム大学のJames Trayfordさんたちの研究チームは、銀河の色や、その色から銀河の進化についてどんなことがわかるのかを調べるため、「EAGLE(Evolution and Assembly of GaLaxies and their Environments)」という最新のコンピュータ・シミュレーションを行った。銀河内の星の年齢や組成を元に銀河の色をモデル化した。
シミュレーションで作られた青、緑、赤の銀河(提供:James Trayford/EAGLE/Durham University)
「新しい星々や惑星が生まれているときは、銀河は健康的な青い光を放ちます。しかし星の形成が停止し、星が年老いたり死んだりしていくと銀河は赤くなります。実際の宇宙では、青や赤の銀河は比較的よく見られますが、緑の銀河は珍しい存在です。珍しいということは緑色の期間が短いということになりますが、青から赤へ急速に変化していく間の、銀河進化の重要な段階と考えられます」(Trayfordさん)。
色が劇的に変化するためには、星の材料となる濃いガスの供給を急速に破壊するような、パワフルな過程が必要になる。「シミュレーションによれば、小さい緑の銀河は近くに存在する巨大な銀河の重力によって翻弄され、ガスが引き剥がされるようです。大きい緑の銀河の場合は、その中心に潜む超大質量ブラックホールによって大きな爆発が引き起こされ、濃いガスが吹き飛ばされてしまうと考えられます」(Trayfordさん)。
そんな緑の銀河にも希望がないわけではないようだ。シミュレーションからは、幸運な銀河は周囲から新鮮なガスの供給を受け、星や惑星形成を再開して青い状態へと復活するということも示された。
〈参照〉
- RAS: It’s not easy being green - what colours tell us about galaxy evolution
- MNRAS: It is not easy being green: the evolution of galaxy colour in the EAGLE simulation 論文
〈関連リンク〉
- THE EAGLE PROJECT: http://icc.dur.ac.uk/Eagle/
- 星ナビ.com こだわり天文書評:
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