120億年前にすでにできあがっていた巨大銀河の核

このエントリーをはてなブックマークに追加
天の川銀河よりも重い、星形成活動を終えようとしている「静かな」銀河が120億年前の宇宙に発見された。銀河の核の部分は120億年前にはすでにできあがっていたことも明らかにされている。

【2019年12月24日 すばる望遠鏡

恒星は銀河の中で作られるが、それぞれの銀河における星形成の活発さは様々だ。勢いよくガスから星を作って明るく輝く、星の生産工場と呼べるような「元気な」銀河もあれば、何らかの原因で星を作ることをやめてしまった「静かな」銀河もある。銀河が星を作らなくなり静かになる理由は明らかになっておらず、静かになりかけている銀河がその謎を解明する鍵を握っていると考えらる。

こうした銀河の謎を研究するため、国立天文台・総合研究大学院大学の田中賢幸さんたちの研究チームは、「すばるXMMニュートンディープフィールド(SXDF)」と呼ばれるくじら座方向の領域を調べた。SXDFには、すばる望遠鏡による長時間観測などで多数の銀河がとらえられており、暗い銀河や遠方の銀河を調べるのにうってつけだ。

田中さんたちはSXDFに含まれる一つの銀河を、米・ハワイのケック望遠鏡の近赤外線分光装置「MOSFIRE」を用いて詳細に分光観測した。その結果、この銀河からの光が120億光年彼方から届いているものであることが確かめられた。また、星を作る活動が弱まっていることも確認できた。これは今までに知られている静かな銀河の中で、最も遠い、つまり年齢が最も古い銀河となる。

研究対象の銀河
120億光年の彼方に見つかった「静かな」銀河(提供:国立天文台)

この銀河には3兆個以上もの星が含まれており、天の川銀河(星の数は数千億個)よりもはるかに重い。宇宙の歴史の中で最初に星形成を終えて静かになり滅んでいくのは、非常に重い銀河と考えられているが、今回見つかった銀河も実際に重い銀河であった。静かになりゆく銀河の謎に迫る上で、大きな意義のある発見といえる。「銀河における星形成がなぜ止まるのかを詳しく調べるための、絶好の観測対象です」(デンマーク・ニールス・ボーア研究所 Francesco Valentinoさん)。

さらに、銀河内の星の運動を調べたところ、現在の宇宙にある重い銀河の星とほぼ同じ速度で動いていることがわかった。これは、銀河の「核」が120億年前にはほぼできあがっていたことを意味する結果である。

「これまでに同様の測定で発見された最も古い銀河は110億年前のものでした。今回の発見はそれを10億年もさかのぼったのに、銀河の核となる部分がすでにできあがっていたことは驚きです。私たちが考えていた以上に早く、銀河の核が形成されていたようです」(田中さん)。

「銀河がどのように生まれて、育ってきたのかは、まだ謎が多いのです。巨大な銀河については、とくにわかっていません。巨大な銀河が誕生して育ち、静かになっていく過程や、銀河の核ができた時期について、今後も研究を続けていきます」(田中さん)。

研究成果の説明
今回の研究成果の概念図(提供:国立天文台/Tanaka et al. 2019)

関連記事