ガスと塵の分布が示す2つの惑星誕生の証拠

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アルマ望遠鏡の観測により、若い星を取り巻く塵とガスの円盤に、はっきりとした暗い隙間が複数見つかった。そのうち2か所には、それぞれ土星ほどの質量の惑星が存在しているとみられている。

【2016年12月15日 アルマ望遠鏡

「HD 163296」は、いて座の方向約400光年のところにある7等星だ。太陽の約2倍の質量を持ち、年齢は約500万歳と見積もられている若い星で、周囲には塵とガスの円盤が広がっている。

米・ライス大学のAndrea Isellaさんらの研究チームが、アルマ望遠鏡でこの星を観測し、円盤中の塵と一酸化炭素ガスの両方の分布をほぼ同じ解像度で明らかにした。

HD 163296を取り巻く円盤:塵とガスの分布
HD 163296を取り巻く円盤。(オレンジ)塵の分布、(青)一酸化炭素ガスの分布(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO); A. Isella; B. Saxton (NRAO/AUI/NSF)、以下同)

観測から、円盤に隙間が3本あることがわかった。最も内側の隙間の半径は60天文単位(1天文単位=約1億5000万km)で、これは太陽から海王星までの2倍に相当する。さらに外側の隙間は半径100天文単位と160天文単位のところにあり、太陽系では海王星の外側に位置する氷天体が集まった「エッジワース・カイパーベルト」か、それよりも外側まで広がっていることになる。

HD 163296を取り巻く円盤:塵の分布
HD 163296を取り巻く円盤の、塵の分布。(白い点線)発見された3本の隙間の部分

一酸化炭素分子の観測からは、3本のうち外側の2本の隙間でガスの存在量が低下していることが示された。塵でもガスでも隙間が見えるということは、その位置にはすでに惑星が存在している可能性が高いと考えられる。一酸化炭素分子の分布に見える隙間の幅と深さから見積もると、これらの隙間にある惑星の質量は土星程度とみられる。

一方で、塵円盤に見えた最も内側の隙間では一酸化炭素の存在量は周囲とあまり変わらず、この隙間が惑星ではない別の要因で作られた可能性を示している。

「若い星の周りでは、塵とガスはまったく異なる振る舞いをします。たとえば、リング状の塵の分布を作りだす物理的・化学的メカニズムはいくつか存在し、惑星の重力以外の要因でリング構造が作られた可能性もあります。塵だけでなくガスの観測を併せた今回の結果は、まさしくこの円盤の中で惑星が作られていることを示しているのです」(Isellaさん)。

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