インドネシアからの日食レポートと、衛星からとらえられた日食画像

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3月9日の日食はインドネシア付近では皆既日食となった。アストロアーツ/星ナビ協賛ツアーが催行された各地からのレポートなどを紹介しよう。遠山御幸さんからは、グアム島沖の「ぱしふぃっくびいなす」船上の様子を送っていただいた。なお、次の皆既日食は来年2017年8月22日のアメリカ横断皆既日食で、アストロアーツ/星ナビ編集部では旅行社とともに観測ツアーを企画中だ。気象衛星「ひまわり8号」がとらえた月の影など人工衛星から見た日食画像も紹介。

【2016年3月11日 アストロアーツ/星ナビ編集部/中西昭雄さん/遠山御幸さん/気象庁NASA DSCOVRISAS

インドネシアでの皆既日食

日食帯

テルナテ(レポート:アストロアーツ 上山治貴/旅行主催:セブンカルチャーネットワーク)

テルナテは、明け方は雲が多かったのですが、第一接触の頃には太陽付近の雲が移動してクリアになりました。

皆既直前に薄雲が移動してきて、ダイヤモンドリングが終わるとまるっきり太陽が見えなくなってしまいましたが、数十秒後に雲が薄くなって、コロナが見えだしました。雲は切れることなく皆既は終了。プロミネンスもよく見えました。

なお、エクリプスナビゲータのカウントダウンは月縁補正のおかげでドンピシャ! 読み上げをしていただいた添乗員さんも感激していました。カウントダウンのゼロの言葉通りにダイヤモンドリングが消えました!!

テルナテで撮影された皆既日食 テルナテで撮影された皆既日食
テルナテ日食ツアーの記念撮影
テルナテでの日食。クリックで拡大

バリクパパン(レポート:アストロアーツ 泉水朋寛/旅行主催:セブンカルチャーネットワーク)

観測地バブル(バリクパパンから1時間半ほど移動した地点)は雲が多く、第二接触までは何とか確認できたものの、皆既中の太陽はずっと雲の向こうでした。後で聞いた話によれば、バリクパパンに留まっていれば皆既食の全過程を見られたとのことで、日食観測の面白さと難しさを感じました。

バリクパパン(バブル)で撮影された日食 バリクパパン(バブル)で撮影された日食
バリクパパン(バブル)の人々の様子 バリクパパン(バブル)での日食。1枚目は皆既の約20分前、2枚目は約1分前(いずれもフィルターなしで雲越しの撮影)。クリックで拡大

パランカラヤ(レポート:アストロアーツ 上田敬司/旅行主催:クラブツーリズム)

観測地の日食中心線に近いパランカラヤ郊外のゴルフ場は、日食が始まる約2時間前からまさかの大雨に見舞われました。第二接触前に一時雲が切れて太陽が姿を現しましたが、その後ふたたび雲が厚くなり皆既は見られず、次に太陽が出てきたのは第三接触が終わったあとでした。ツアー参加者からは「30分ずれていれば……」という嘆きの声が聞かれました。

大雨のパランカラヤ 厚い雲に覆われたパランカラヤ
皆既終了から約30分後の部分日食
日食開始前は土砂降りの大雨。厚い雲の下で皆既を迎える。皆既が終わってから約30分後に欠けた太陽を見ることができた。クリックで拡大

パレンバン(レポート:中西昭雄さん/旅行主催:クラブツーリズム)

パレンバン郊外の日食観測場所を行った射撃場では、雲が多く厳しい条件の中、辛くも雲間からコロナを見ることができました。市内のホテル屋上で観測したグループは、残念ながら雲の中での皆既となりました。

パレンバンで撮影された皆既日食
パレンバンでの日食。クリックで拡大


グアム沖(レポート:遠山御幸さん)

3月4日(金)から11日(金)までクルーズ客船「ぱしふぃっくびいなす」で皆既日食を観測してきました。場所はグアム島の南東沖約500kmの海上です。

当日は、日食の始まる前からひつじ雲が多く、船はそれらの雲を避けるように右に左に進路を変えながら進みました。皆既食の始まりの数分前に比較的大きな雲の塊が太陽を覆ってしまいましたが、皆既開始1分前に弓なりに細くなった太陽が再び姿を現し、その直後に美しいダイヤモンドリングが姿を現しました。太陽の右下に水星と金星を従えた黒い太陽は荘厳な美しさでした。やがて再びダイヤモンドリングが姿を現しました。ドキドキハラハラする中で、日食の全経過を目撃することができました。

揺れはさほどではありませんでしたが、太陽はそれでも(レンズの焦点距離)500mmの視野を外れることがしばしばでした。船上での皆既日食撮影の難しさを痛感しました。これまでに見たダイヤモンドリングの中では、最も美しく感じました。

「ぱしふぃっくびいなす」での日食観測の準備風景
「ぱしふぃっくびいなす」での日食観測の準備風景。観測者のために12階のサンデッキのスペースが用意された

太陽コロナ 第三接触のダイヤモンドリング
太陽コロナ(日本時間10時58分06秒)と第三接触のダイヤモンドリング(同10時58分47秒)。クリックで拡大

ツアーレポートは星ナビ5月号(4月5日発売予定)にも掲載予定です。

次の皆既日食は来年2017年8月22日のアメリカ横断皆既日食です。アストロアーツ/星ナビ編集部では旅行社とともに観測ツアーを企画中です。


日本国内での部分日食

国内では4年ぶりとなる日食だったが、残念なことに広い範囲で曇りや雨になったため観測や撮影の報告も少なかった。投稿画像ギャラリーには、雲の合間に観測できた北日本からの部分日食画像をお送りいただいている。

北海道釧路市で撮影された部分日食の連続写真
北海道釧路市で撮影された部分日食の連続写真。クリックで投稿画像ギャラリーのページへ(撮影:Dairakkeさん)

皆既日食の画像はツアーから帰国し画像処理を終えた来週あたりから増えてくるだろう。


人工衛星がとらえた日食

気象衛星「ひまわり8号」や、NASAの地球観測衛星「DSCOVR」が撮影した日食の画像も公開されている。これらの衛星は地球を観測しているので、とらえられているのは「地球に落ちた月の影」だ。リリース元では動画も公開されており、時間経過とともに月の影が地球上を西から東へと動いていく様子がよくわかる。

「ひまわり8号」がとらえた、地球に落ちた月の影
「ひまわり8号」がとらえた、地球に落ちた月の影。日本時間9日11時10分撮影。クリックでリリース元のページへ(提供:気象庁)

「DSCOVR」がとらえた、地球に落ちた月の影
「DSCOVR」がとらえた、地球に落ちた月の影。日本時間9日12時1分撮影。クリックでリリース元のページへ(提供:NASA)

また、太陽観測衛星「ひので」が撮影した日食の画像や動画も公開された。日本時間9時8分ごろにインドネシア上空を飛翔している際にX線望遠鏡でとらえたもので、X線で輝く太陽コロナを背景に黒い月が動いていく様子が見える。「ひので」はコロナから発せられる紫外線輝線の観測も行っており、これらのデータは地上観測チームのデータと共に、皆既日食時に可視光線で見られるコロナ構造とX線ジェットの因果関係や、高温なコロナ物質の物理的状態を調べる研究に用いられる。

「ひので」がとらえた日食
「ひので」がとらえた日食。「ひので」からは皆既日食ではなく、深い部分日食が観測された。クリックでリリース元のページへ(提供:ISAS, NAOJ)

〈参照〉

〈関連リンク〉

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