エンケラドスの間欠泉から伸びる弦状構造
【2015年4月21日 NASA JPL】
NASAの土星探査機「カッシーニ」が撮影した衛星エンケラドス周辺の写真に、指のような形をした淡い構造が見られることがある。この弦状構造は、おそらくエンケラドスの間欠泉から噴出した氷で作られているのだろうと思われてきたが、間欠泉と構造が直接結ばれたことはなかった。
エンケラドス周辺に見られる弦状構造(a、c)と、それぞれを再現したシミュレーション画像(b、d)(提供:NASA/JPL-Caltech/Space Science Institute)
エンケラドスの南極に見つかっている間欠泉から噴出した氷粒がどのような軌道を描くかをシミュレーションしたところ、撮影されたような弦状の形を再現できることが示された。軌道は氷粒の大きさによって変化するが、弦状構造を再現する氷粒の大きさはエンケラドスからの噴出物で作られる土星のE環に見つかっている粒子のものと一致している。
弦状構造の形は時間が経つと変化する。エンケラドスが土星を公転する間に受ける潮汐力が変化し、大きい力を受けると間欠泉からの噴出物が増えることが理由とみられている。
〈参照〉
- NASA JPL: Icy Tendrils Reaching into Saturn Ring Traced to Their Source
- The Astronomical Journal: Tidally Modulated Eruptions on Enceladus: Cassini ISS Observations and Models 論文
〈関連リンク〉
- 土星探査機「カッシーニ」: http://saturn.jpl.nasa.gov/
- アストロアーツ 投稿ギャラリー: 2015年 土星
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