光子の到来時刻を100ナノ秒単位で記録する装置「IMONY」
【2026年3月30日 山形大学】
宇宙には非常に短時間で明るさが変化する天体が存在する。その代表であるパルサーは、強い磁場を持つ中性子星が高速で自転している天体で、その自転に伴う周期的なパルスが電波やX線で観測される。有名なものとして、おうし座の方向約6500光年の距離にある超新星残骸「かに星雲」の中心に存在する、約0.034秒周期で光度変化を繰り返す「かにパルサー」が挙げられる。

(左)かに星雲の全体像(赤外線の擬似カラー)、(右)かにパルサー付近の拡大像(X線、可視光線、赤外線の擬似カラー画像)(提供:(左)NASA, ESA, CSA, STScI, Tea Temim (Princeton University); Image Processing: Joseph DePasquale (STScI)、(右)X-ray: NASA/CXC/SAO; Optical: NASA/STScI; Infrared: NASA-JPL-Caltech)
こうした現象を理解するには、パルス状の電磁波がどれくらい速く変化するかを測ることが重要だ。しかし、可視光線で“超高速”を高感度で測定する装置は簡単ではなく、とくに日本では事例が少ない。
山形大学の中森健之さんたちは素粒子・放射線物理学実験の技術を用いて、天体からの光の粒子を1個ずつ検出し、100ナノ秒(1000万分の1秒)の分解能で到来時刻を記録するシステム「IMONY(Imager of MPPC-based Optical-photoN counter from Yamagata)」を開発した。「いもにぃ」という呼び名は山形名物の芋煮に由来する。
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中森さんたちはIMONYを京都大学岡山天文台「せいめい望遠鏡」に搭載し、かにパルサーを1週間にわたって観測した。その結果、せいめい望遠鏡の高い集光力との組み合わせにより微弱な時間変動が追跡され、自転周期に同期した単発の光パルスが検出された。また、光パルスが電波パルスに対して200~300マイクロ秒先行するという先行研究の結果と一致する結果が得られたほか、光パルスの到来タイミングが数日のタイムスケールで徐々に早くなっている可能性も示された。
今後、IMONYを活用した東アジア圏で光の高速観測が本格化し、国内外の電波望遠鏡との同時観測によって、パルサーや様々な突発現象の研究が進展することが期待される。
〈参照〉
- 山形大学:天体からの光の粒を捉える 山形生まれの高速カメラIMONY ~せいめい望遠鏡でカニパルサーを連夜観測~
- PASJ:One-week optical observations of pulsed emission from the Crab pulsar with IMONY on the 3.8 m Seimei telescope 論文
〈関連リンク〉
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