12月19日公開 映画『楓』と天文監修の舞台裏

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映画『楓』が12月19日より全国ロードショーとなる。切ないラブストーリーを軸に、彗星捜索がストーリーに深く絡む作品の天文的見どころを案内する。

【2025年12月16日 星ナビ編集部

スピッツの名曲「楓」を主題歌に、この冬公開される映画『楓』。予告編で望遠鏡や、南半球の星空が登場していることに気づいた天文ファンも多いだろう。映画制作スタッフより「彗星捜索の実際を知りたい」との依頼が星ナビ編集部にあり、リアリティを追求する行定勲監督の方針を受け、編集部が天文監修として協力することとなった。

映画『楓』本予告映像<90秒>

製作スタッフには、アマチュア天文家の捜索方法や、近年主流となっている自動サーベイシステムの状況、そして彗星発見時の国立天文台への報告の流れなどを、バックナンバーを参照しながら詳細に説明。さらに、実際に彗星を捜索・発見している西村栄男さんのもとへ制作スタッフが取材に出向き、日々の捜索ルーティンや機材、彗星が画像にどのように写るのかといった現場のディテールが丹念に集められた。

星ナビ編集部ではさらに天文資料やポスター、天文小物などを提供。天文シミュレーションソフトの開発を行っているという設定のオフィスセットを飾り、物語の存在感を高めるのに一役買っている。また、サイトロンジャパンも望遠鏡機材協力・監修に加わり、撮影現場で望遠鏡のセッティングや覗き方などを指南した。

映画の中の天文小物
様々なシーンでSky-Watcherやタカハシ、ペンタックス、ビクセンなどの望遠鏡が登場する。作中には架空の「星ナビ」表紙も。作中で登場する国立天文台は埼玉の堂平天文台でロケが行われた。彗星捜索シーンのPCモニターに映っているのは「ステラナビゲータ」で作成した彗星捜索範囲計画星図。(Ⓒ2025 映画『楓』製作委員会 クリックで拡大)

映画の彗星捜索シーン
彗星捜索機材はサイトロンジャパンのSR2-001屈折と波動歯車装置を採用したSIX赤道儀(いずれも開発中)。「ステラナビゲータ」のシミュレーションを元に星空がCGで再現された。(Ⓒ2025 映画『楓』製作委員会)

福士蒼汰と福原遥が演じる、星が大好きな主人公たちの切ない物語とともに、作中には「ステラナビゲータ」のシミュレーションを元に再現された星空シーンや、西村栄男さん提供の実際の彗星捜索画像など、天文ファンがときめくディテールが散りばめられている。

果たしてラブストーリーとディープな彗星捜索はどのように融合(?)し、二人が願い続けた彗星は見つかるのか。その結末と、テカポで見上げる南半球の星々、そして天文小ネタの数々をぜひ劇場で確かめてほしい。

※本記事は「星ナビ」2026年1月号のp6「NewsWatch」を抜粋したものです。

《映画「楓」》

■ 公開:
  • 2025年12月19日(金)全国ロードショー
■ 原案・主題歌:
  • スピッツ「楓」
■ 出演:
  • 福士蒼汰、福原遥 ほか
■ 監督:
  • 行定勲
■ 脚本:
  • 髙橋泉
■ WEBサイト:

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