一部故障のケプラー、復活ミッションで初の系外惑星発見

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姿勢制御装置の不具合のために主要ミッションを終了していた系外惑星探査衛星「ケプラー」が、今年からスタートした新ミッションで初の系外惑星を発見した。

【2014年12月19日 NASA

2009年に打ち上げられたNASAの衛星「ケプラー」は、惑星が主星の手前を通過(トランジット)する時に見られるわずかな減光から系外惑星の存在を検出するという手法で、これまでに3000個以上の系外惑星候補を発見してきた。だが2013年8月、姿勢を制御する装置であるリアクションホイール4基のうち2基目が故障してしまった。

精密な向き制御ができないために主要ミッションは終了となったが、太陽光圧を姿勢制御に利用する「K2ミッション」が今年8月から正式にスタートした。すでに3万5000個の恒星を観測したほか、星団や星形成領域、太陽系内のデータも収集している。そして今回、記念すべき復活後初の系外惑星が見つかった。

発見されたのは、うお座の方向180光年彼方にある太陽より小さく低温の星を9日周期で回る「HIP 116454b」で、その直径は地球の約2.5倍。2月に行われたテスト観測のデータから検出され、スペイン領カナリア諸島にあるガリレオ国立望遠鏡でのドップラーシフト観測(惑星の重力で主星がわずかにふらつく動きを検出)で存在が確認された。

ケプラーはHIP 116454bのような、大きさが地球と海王星(直径が地球の約4倍)の間にある系外惑星を数多く見つけてきたが、これは太陽系には存在しないものだ。地球のような岩石惑星と海王星のような巨大氷惑星の運命を分けるものは何かを解明するカギとなるかもしれない。

観測しやすい近傍の恒星から惑星を見つけ出せば、地上や宇宙の他の望遠鏡でさらに詳しく調べることができる。その観測対象をピックアップする任務においても、ケプラーはまだまだ一役買ってくれそうだ。

系外惑星探査衛星「ケプラー」
新ミッション「K2」で初の系外惑星を発見した「ケプラー」(CG図提供:NASA Ames/JPL-Caltech/T Pyle