太陽系の惑星を急成長させた前線

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太陽系の惑星は、太陽に近くて水が蒸発する内側と遠すぎて水が凍る外側の境界、「スノーライン」で急激に成長して形成された可能性がシミュレーションで示唆された。

【2022年4月12日 JAXA宇宙科学研究所

一般に、太陽系の惑星は、生まれたての太陽を取り巻いていた原始惑星系円盤の中から誕生したと考えられている。しかし、円盤の中にまんべんなく塵が集まっていて、その塵が集まって惑星になったのだと考えると、うまく説明できない問題がある。

まず一つは、塵が小石程度まで成長するとガスによる抵抗を受けやすくなり、回転にブレーキがかかって太陽へ急速に落下してしまうという「固体落下問題」だ。また、水星や火星が両者の間にある金星や地球よりも小さい理由が説明できない。

JAXA宇宙科学研究所の兵頭龍樹さんたちの研究チームは、惑星が最初から最後までその場で成長するのではなく、原始惑星系円盤内の「H2Oスノーライン」(以下「スノーライン」)という領域で急激に大きくなったと考えることで、これらの問題を解決できると提案している。太陽にある程度近い領域では水が蒸発してしまい、十分に遠い領域では凍結するが、その境界がスノーラインだ。

兵頭さんたちは数値計算に基づき、次のようなシナリオを提唱した。

固体粒子が凝集するプロセス
スノーラインで固体粒子が局所的に凝集するプロセスのアニメーション(提供:Hyodo+ 2019, 2021 A&A)

スノーラインの外側では、塵とともに氷も集まり、一体となって成長していく。そして小石程度まで成長した微小天体は急速に内側へ落下するが、その落下はスノーラインで止まる。氷が蒸発してしまい、粒が小さくなることでガスからの抵抗が弱まるからだ。

落下がゆっくりになった岩石粒は、スノーラインの内側で交通渋滞を起こしたかのように溜まっていく。粒同士は衝突合体しやすくなり、1~100kmサイズの岩石からなる微惑星へと成長する。一方、蒸発した氷の一部はスノーラインの外側へ拡散して再び凍るが、それが外側から続々と落下している微小天体にくっつく。こうして、外側では氷を主体とした微惑星が形成される。

兵頭さんたちは様々に条件を変えてシミュレーションを行った。その結果によれば、原始惑星系円盤の環境が時間とともに変化し、スノーラインが移動することを考慮すれば、太陽系のように内側に岩石惑星、外側に氷(およびガス)惑星が残される状況を再現できるという。特に岩石惑星に関して、内側の水星と外側の火星が小さく、中間の金星と地球が大きいことは、狭い範囲にばらまかれた微惑星が成長したことで説明できるという先行研究がある。スノーラインがその狭い範囲だったのかもしれない。

〈参照〉