132億年前の銀河に存在した大量の塵

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アルマ望遠鏡による観測で、132億光年彼方の銀河に大量の塵と酸素が発見された。塵が見つかった銀河としては観測史上2番目に遠い記録で、宇宙誕生から約6億年後までに大量の星の生死が繰り返されていたことを示す成果である。

【2019年3月20日 アルマ望遠鏡名古屋大学

138億年前、誕生した直後の宇宙に存在していた元素は、水素とヘリウム、およびわずかなリチウムだけだった。その後、ガスが集まって星が誕生し、星の内部の核融合反応によって炭素や酸素などの重い元素が次第に作られてきた。

こうした重い元素は、星が一生を終える際に周囲の宇宙空間へとまき散らされる。このような過程が繰り返されることによって、宇宙には徐々に重い元素が蓄積されていく。したがって、遠方宇宙(初期宇宙)における重い元素の存在量を調べることで、宇宙初期の星の形成史を解き明かす手掛かりが得られる。

名古屋大学の田村陽一さんたちの研究チームはアルマ望遠鏡を使って、エリダヌス座の方向約132億光年の距離にある銀河「MACS0416_Y1」を観測した。その結果、太陽の400万倍という大量の塵や酸素がこの銀河に存在していることが確かめられた。塵と酸素が検出された銀河としては、観測史上2番目に遠い銀河の記録である。

銀河「MACS0416_Y1」
アルマ望遠鏡(赤:塵が放つ光、緑:酸素が放つ光)とハッブル宇宙望遠鏡(青:若い星が放つ光)がとらえた銀河「MACS0416_Y1」(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), NASA/ESA Hubble Space Telescope, Tamura et al.)

MACS0416_Y1に大量の塵と酸素が検出されたことは、宇宙誕生から6億年という比較的短い時間に、この銀河ですでに多くの星の生死が何度も繰り返されたことを示している。宇宙誕生から10億年未満の時代の銀河に理論予想を大きく超える量の塵が存在するという問題はこれまでも指摘されてきたが、今回の発見は、より早期の宇宙にも大量の塵が存在することを示すものであり、問題はより大きくなった。

塵の量などを元にしたモデルによると、生まれて3億年程度の星と、今(=132億年前)まさに生まれたばかりの星という2つの世代の星々が銀河内に共存していれば、観測結果とうまく整合するという。つまりMACS0416_Y1では、ビッグバン後およそ3億年が経過したころに最初の活発な星形成が進み、その活動がいったん落ち着いたあと、さらに3億年後(ビッグバンから約6億年後)に再び活発な星形成活動が始まったと考えられるということだ。今回研究チームが観測したのは、2度目の星形成活動の始まりのあたりと考えられている。

今後も観測研究を推し進めることで、宇宙で最初の星である第一世代星(ファーストスター)が生まれた時代に迫ることもできると期待される。

MACS0416_Y1の想像図
MACS0416_Y1の想像図。生まれて3億年程度の星とそれらの星の一部が一生を終えて放出した大量の塵や酸素等の重元素を含むガス、さらにそれらのガスから生まれた第2世代の若い星の集団が描かれている(提供:国立天文台)

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