1万3000光年彼方の系外惑星

このエントリーをはてなブックマークに追加
赤外線宇宙望遠鏡「スピッツァー」と地上望遠鏡の共同観測から、天の川銀河の中心方向1万3000光年彼方に系外惑星が発見された。こうした遠方の惑星の存在を探ることで、銀河内の系外惑星の分布に偏りがあるかどうかを調べることができる。

【2015年4月17日 NASA

銀河内での惑星の位置
今回発見された惑星は、太陽系と天の川銀河の中心の中間あたりに位置している。クリックで拡大(提供:NASA/JPL-Caltech。以下同)

赤外線望遠鏡「スピッツァー」とチリ・ラスカンパナス天文台のワルシャワ望遠鏡の共同観測により、1万3000光年彼方の系外惑星が発見された。

OGLEプロジェクトでは、重力マイクロレンズ現象から系外惑星の探索を行っている。重力マイクロレンズ現象とは、恒星の前をもう1つの恒星が通過した時に、手前の星の重力がレンズのように働いて向こう側の星が明るく見えるものだ。手前の星の周りを惑星が回っていればこのレンズ作用に変化が生じるので、そこから惑星の存在がわかる。

地上のワルシャワ望遠鏡に加えて、地球から2億kmの位置にある赤外線望遠鏡「スピッツァー」でもこの重力レンズ現象を同時観測したところ、惑星の存在によるレンズ作用の変化が地上よりも20日早く見られた。このタイムラグから恒星の正確な距離が求められ、この惑星が木星の半分程度の質量であることもわかった。

観測手法の概念図
重力マイクロレンズ効果を使った観測手法の概念図。クリックで拡大

この手法で銀河バルジ(銀河中心部の膨らみ)に存在する惑星が30個ほど見つかっており、最も遠いものでは2万5000光年彼方になる(参照:「2万5000光年彼方、天王星のような巨大氷惑星」)。遠方の惑星を検出することで、銀河スケールでの系外惑星の分布に偏りがあるかどうかを確かめることができる。