40光年彼方の“太陽”を横切るスーパーアース、地上から観測

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太陽に似た恒星「かに座55番星」の手前を地球の2倍サイズの惑星が横切るようすが、地上の望遠鏡で初めてとらえらえた。

【2014年12月2日 CfA

かに座55番星は40光年彼方にある太陽に似たタイプの星で、その周囲にはこれまでに5つの系外惑星が見つかっている。そのうち最も内側にある惑星、かに座55eが55番星の手前を通過(トランジット)する際のわずかな減光を、スペイン領ラパルマ島の2.5m北欧光学望遠鏡がとらえた。

この惑星(以降55e)の存在は10年前から知られており、地球の倍の大きさを持つスーパーアース(巨大地球形惑星)であることがわかっている。公転周期18時間の55eが55番星の手前を通過する2時間の間、55番星からの光は0.05%遮られる。NASAの「スピッツァー」やカナダの「MOST」といった宇宙望遠鏡でトランジット観測が行われたことはあるが、地上の望遠鏡でこれほどのわずかな減光がとらえられるのは初めてのことだ。

かに座55番星eと地球の大きさ比較図
かに座55番星e(右)は、直径が地球のおよそ2倍、重さは8倍のスーパーアースだ(提供:NASA/JPL)

今回の観測は、太陽と似たタイプの恒星(55番星)でのスーパーアース(55e)のトランジットを地上の望遠鏡でとらえた初めての例でもある(*1)。巨大ガス惑星ではなく、地球とそれほどかけ離れていないサイズの惑星のトランジットを観測できたことで、今後多数の同等サイズの惑星の大気成分を地上からでも調べられるという可能性が示された。トランジットの間、恒星の光の一部は惑星の大気ごしに届くからだ。

「少しずつですが、地球の近所にある地球型惑星で生命の兆候を探る可能性に近づいているのです」と研究メンバーのMercedes Lopez-Moralesさんはコメントしている。

1: スーパーアースのトランジットが地上望遠鏡でとらえられたのは、太陽よりはるかに小さい赤色矮星GJ 1214bに次ぐ2例目。

ステラナビゲータで系外惑星の位置を表示

天文シミュレーションソフト「ステラナビゲータ」では、系外惑星が発見された恒星を星図に表示することができます。

  • 「ステラナビゲータ10」をご利用の方は、まず「ツール」メニューからデータを更新し、「恒星」ダイアログで「系外惑星をもつ恒星」の「表示」「名称」をオンにします。かに座55番星(「ρ1 Cnc」と表示)を検索してください。
  • 9以前のバージョンでは、「コンテンツ」メニュー→「コンテンツ・ライブラリ」から追加天体データ「系外惑星」をダウンロードして、「天体」メニュー→「追加天体」で表示をオンにしてください。