月が形成された際に水が存在していた証拠

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【2013年8月29日 Phys.Org

月探査機の観測データから、月の内部に由来すると考えられるヒドロキシ基を含む分子の存在が明らかとなった。月が形成された際に水が存在していたことを示唆する分析結果だ。


ブリアルドス・クレーターの中央丘

ブリアルドス・クレーターの中央丘。クリックで拡大(提供:NASA/GSFC/Arizona State University)

米・ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所とアメリカ地質調査所の研究チームは、月のブリアルドス(Bullialdus)クレーターの岩石から検出されたヒドロキシ基(-OH)について、月が形成された際に水が存在していた証拠であると判断した。

研究チームは2機の月探査機、NASAの「ルナー・リコナサンス・オービター」(LRO)とインドの「チャンドラヤーン1号」の観測データを調べ、ブリアルドス・クレーターの中央丘では、周囲に比べ著しく多量のヒドロキシ基が含まれていることを突き止めた。

ヒドロキシ基は水分子の基礎となる物質と考えられている。ヒドロキシ基が月面に見られたのは初めてのことではないが、過去の例では、太陽風と表面物質との相互作用の結果残されたものや、月面への天体衝突によって形成されたものと考えられている。このような場合には一般的に、ヒドロキシ基が月面の低温部分に残されること、さらに温度変化によって移動することが、これまでの研究でわかっている。

一方今回の場合は、ヒドロキシ基が検出された岩石は月の奥深くに由来するものであり、太陽風との相互作用や衝突天体によって形成された可能性はないと研究チームは考えている。クレーターが形成されたときに下から押し上げられた岩盤の一部であり、元々は月の内部に埋まっていたものであるという解釈だ。つまり、月の形成時に水があったことが示唆されるのである。