海王星の嵐の縮小をHSTで追跡

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海王星では時おり、暗い渦巻き構造が発生することがある。最近では2015年に生じたこの嵐が縮小しつつある様子を、ハッブル宇宙望遠鏡がとらえている。

【2018年2月22日 HubbleSite

地球から約45億km離れた太陽系最遠の惑星、海王星に発生する暗く巨大な嵐は、1980年代後半に探査機「ボイジャー2号」によって初めて発見された。それ以降はハッブル宇宙望遠鏡(HST)だけが、この構造を追跡し観測し続けている。

HSTは1990年代中頃に出現した暗い2つの嵐を見つけたが、いずれもその後消えてしまった。嵐が最も最近発生したのは2015年で、HSTの観測によると、その嵐は現在縮小中のようだ。少なくとも200年以上も見えている木星の大赤斑とは異なり、海王星の暗い嵐は数年しか存続しないが、実際に消えつつあるところが撮影されたのはこれが初めてである。

海王星の嵐の変化
2年間にわたる追跡観測でとらえられた、海王星の嵐の変化。左から2015年9月18日、2016年5月16日、2016年10月3日、2017年10月6日に撮影。楕円形の暗斑の長軸は5000kmから3700kmに縮小した(提供:NASA, ESA, and M.H. Wong and A.I. Hsu (UC Berkeley))

海王星の嵐も木星の大赤斑と同様に、反時計回りに渦巻いている。構成物質は硫化水素と考えられており、それ自体の反射率は高いのだが、周囲の大気中の粒子に比べるとわずかに暗く見えるのだという。「渦がどのようにして形成され、どれくらいの速度で回転しているのかに関する情報はありません。東向きと西向きの風が吹き大気が不安定となって渦が発生している可能性が高いです」(スペイン・バスク大学 Agustín Sánchez-Lavegaさん)。

シミュレーション研究では、この渦は赤道方向に動いていくと考えられ、赤道に接近し過ぎればバラバラになって活発な雲の活動が引き起こされる可能性さえあるとみられていた。しかし実際には予測に反し、南半球の中緯度域に現れた暗斑は赤道ではなく南極方向に移動していき、徐々に消えていった。海王星の大きなジェット気流は赤道で吹く西向きのものと、北極と南極の周囲で吹く東向きのものという3つしかないようで、そのため渦は(木星の大赤斑とは異なり)どこにでも移動できる。

HSTは「外部惑星大気観測プログラム」として、ガス惑星の進化や大気ダイナミクスの理解を目指して毎年太陽系内の4つの外惑星の全球的な観測を行っており、他の望遠鏡では取得できない重要な情報を提供してくれている。「これらの興味深い海王星の気候システムが、果たして珍しいものであるのか、ありふれたものなのかを明らかにするために必要なデータを提供できるのは、現在ではHSTだけなのです」(米・カリフォルニア大学バークレー校 Michael H. Wongさん)。

HSTによる観測の紹介動画(提供:NASA Goddard's Scientific Visualization Studio)

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