現代によみがえった600年前の新星

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約600年前に朝鮮で目撃され記録が残されている新星に対応する天体が、最新の研究で明らかにされた。

【2017年9月6日 American Museum of Natural History

約600年前の1437年3月、現在の韓国にあたる地で占星術師たちが、さそり座のしっぽに現れた明るい星を目撃した。その星は14日後に姿を消した。

現代の天文学者は古い記録をもとに、目撃されたのは新星爆発だったと結論付けた。新星爆発とは、白色矮星の表面に連星系の相手の星からガスが降り積もり、その量が限界を超えると白色矮星の周りにある水素の層が吹き飛ばされて、数日から数か月にわたって明るく輝き続ける現象だ。

爆発が起こったはずの連星系はこれまで見つかっていなかったが、米・自然史博物館のMichael Sharaさんたちによる研究から、この新星爆発が起こった場所や、爆発を起こした天体が現在は矮新星となっていることが明らかになった。「過去約2500年間にわたり中国、韓国、日本に残された確実な記録があるものとしては初の、『よみがえった』新星です」(Sharaさん)。

Sharaさんたちはまず、現代のデータから新星爆発によって放出された外層を発見した。さらに、1923年に撮影された写真乾板と現在の画像を比較し、爆発を起こしたとみられる天体の動きを計算した。「この動きをもとに6世紀という歳月をさかのぼってみたところ、天体の位置が放出された外層の中心と一致したのです」(Sharaさん)。

新星と外層
新星と外層。(赤色の+)1437年当時の星の位置、(緑色の+)1437年当時の外層の中心、(その下)現在の新星の位置(提供:K. Ilkiewicz and J. Mikolajewska)

1940年代の写真乾板の情報からは、この天体が現在は矮新星であることがわかった。これらの結果は「新星」「新星状変光星」「矮新星」は別種の天体ではなく、同じ天体が長い年月の間に見せる別々の状態であることを示すものである。「卵、幼虫、さなぎ、蝶がすべて同じ生物が経る段階であるのと同じように、これらの激変星は連星系が見せる進化の様々な段階を見ているのであって、実体は同じであるという考えを強く支持しています」(Sharaさん)。

「蝶であれば卵から成虫まで1か月ほどで見ることができますが、新星のライフサイクルは数十万年にも及ぶため、私たちはその一生を見届けられません。580年前の新星の記録を、現在の空に見える新星の外層や矮新星と結び付けたことで、画期的な発見に至ったのです」(Sharaさん)。

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