木星に見つかった「大冷斑」

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木星に、大赤斑のライバルのような巨大な構造が見つかった。第二の大斑点は極域にあり、周囲より200度ほど温度が低い。

【2017年4月18日 ヨーロッパ南天天文台University of Leicester

木星の大赤斑は数百年もの間消えることなく存在し続けている、地球が数個入るほどの巨大な嵐だ。時速600km以上の風が吹き荒れており、上空は摂氏1300度にまで加熱されている。

その大赤斑と大きさを争うほどの巨大な暗い構造が、木星の極域の上層大気中に見つかった。東西2万4000km(地球の直径の2倍弱)、南北1万2000kmの広がりを持ち、周囲よりも約200度ほど温度が低く、「大冷斑(Great Cold Spot)」と愛称がつけられている。

大冷斑
木星のオーロラと大冷斑(光って見えるオーロラの左下に位置する暗い部分)。一番上は2012年10月17日、残り3つは同12月31日に撮影(提供:ESO/T. Stallard)

ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡「VLT」などを用いて15年以上かけて取得されたデータによると、大冷斑は、ゆっくりと変化している大赤斑に比べて揮発性がはるかに高いため、形や大きさが数日から数週間で劇的に変化するようだ。しかし、決して消えることはなく、ほぼ同じ位置にとどまり続けている。

この大冷斑は木星の強力なオーロラによって発生していると考えられている。オーロラが大気の中に熱という形でエネルギーを送り込むことにより、低温領域が上層大気中にできるというメカニズムで、これはオーロラによって作られる気象システムの初の観測例となる。

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