自らを引き裂く、最も明るいホットドッグ銀河

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地球から124億光年彼方に、太陽350兆個分もの赤外線を放射する宇宙で最も明るい銀河がある。アルマ望遠鏡の観測で、この銀河全体のガスがかき乱された状態にあることがわかった。エネルギー源は中心の超大質量ブラックホールのようだ。

【2016年1月22日 NASA JPLNRAO

みずがめ座の方向124億光年彼方にある銀河「W2246-0526」は、「Hot DOGs」(Hot, Dust-Obscured Galaxies、高温で塵に隠された銀河)と呼ばれる珍しい種類の天体だ。赤外線の波長では太陽350兆個分もの明るさで光っている、現在知られている中で最も明るい銀河である。

銀河「W2246-0526」の想像図
銀河「W2246-0526」の想像図(提供:NRAO/AUI/NSF; Dana Berry / SkyWorks; ALMA (ESO/NAOJ/NRAO))

アルマ望遠鏡を使った観測で、この銀河全体にわたって大量の電離した炭素がかき乱された状態にあることが明らかになった。ガスを引っかき回すエンジンのような役割をしているのは、銀河の中心に位置する超大質量ブラックホールだ。

ブラックホールの大きさ(「事象の地平線」と呼ばれる範囲)は銀河の100万分の1ほどと考えられているが、ブラックホールが物質を飲み込んで放たれるエネルギーは、数千光年離れた距離に存在するガスにまで影響を及ぼしている。W2246-0526のように、銀河全体にわたってガスが大きくかき乱されている様子が検出されたのは初めてのことだ。

「この銀河は自らを引き裂いているのです。ガス中の光子のエネルギーと運動量は非常に大きく、すべての方向に向かってガスが押し出されています」(ディエゴ・ポルタレス大学 Roberto Assefさん)。

ガスが強く押し出されて銀河から完全に離れてしまうのか、それとも再び銀河に落ち込んでいくのかは、わかっていない。「銀河を取り巻くすべてのガスや塵が吹き飛ばされて、『クエーサー(塵に隠されていない銀河中心核)』が見えるようになるのかもしれません」(Assefさん)。