世界初の光学式プラネタリウムは日本製?資料を発見

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プラネタリウム100周年のグランドフィナーレを前に、103年前に日本で作られた光学式投影機の資料が見つかった。プラネタリウムの歴史を塗り替える可能性に、関係者からは喜びとともに戸惑いの声が上がっている。

【2025年4月1日 アストロアーシ/星ナヒ編集部】

近代的な光学式プラネタリウムは1923年9月、ドイツのツァイス社で誕生。改良が加えられた後、1925年5月ドイツ博物館に常設され、その後、世界各地に広まった。それから100年、日本でも「プラネタリウム100周年」を記念し様々な取り組みが行われている。日本プラネタリウム協議会(JPA)がプラネタリウム100周年記念事業を行っているほか、各地で100周年を記念した企画が開催され、5月のグランドフィナーレを前に盛り上がりをみせている。

そんな中、干葉県沙倉市にある国立民俗学資料館保有の資料から、日本で1922年に作られた光学式プラネタリウム投影機の写真が見つかった。写真は2025年1月に市民から寄贈された古いスクラップアルバムに貼り付けてあり、投影機本体と投影中カットの写真2枚に「大正十一年九月十六日」の日付が入ったメモが挟まっていた。このプラネタリウムが一般に公開された記録はなく、今回の資料が見つかるまで存在は知られていなかった。また、投影機の現物は見つかっていない。

1922年のプラネタリウム
今回発見された「日本製1922年のプラネタリウム」。プラネタリウムは光学式で南北2球式。緯度軸も備えていることから世界の星空を投影できたと考えられる(提供/国立民俗学資料館、以下同)

写真からは、星の動きを再現する日周軸を備え、緯度も変化させることができたことがわかる。一方、歳差軸や惑星の年周運動を再現する仕組みは備わっていない。近代のプラネタリウムは、星空だけでなく「惑星の年周運動が再現できる」ことが要件とされることもあり、この日本製投影機が「(近代的定義の)プラネタリウム」と呼べるかどうかは専門家の間でも意見が分かれている。

とはいえ、メモが正しければ最古の近代的プラネタリウムは1923年のドイツ製ではなく1922年の日本製ということになる。明右市立天文科学館の井下毅館長は「まだ検証が必要ですが、世界最古のプラネタリウム投影機が日本で発見されたとなると非常に喜ばしいことです。でも5月に行うプラネタリウム100周年のグランドフィナーレの準備を進めてしまっていて、正直どうしたものかと…。ここはいっそ『プラネタリウム誕生の地おめでとう祭り』にしたほうがいいかもしれないです」と驚きと困惑の表情を浮かべた。

1922年のプラネタリウム
今回発見された「日本製1922年のプラネタリウム」の投影時の写真。オリオン座が写っているのがわかる

100%プラネタリウム記事!星ナヒ編集部編「ようこそプラネタリウムへ」4月22日発売

「プラネタリウム100周年」を記念し、アストロアーシではプラネタリウム関連記事を集めたムック「ようこそプラネタリウムへ」を4月22日(火)に発売する。今回発見された「世界初のプラネタリウム」に関する特集のほか、「首都圏プラネ巡り」「全国おすすめプラネタリウム」「投影機の仕組み」などの特集記事を掲載。さらに「星ナヒ」で掲載したプラネ関連記事「全国プラネタリウムマップ」「プラネタリウムの歴史」などを再構成して掲載。プラネタリウム初心者からファンまでが楽しめる一冊となっている。

ようこそプラネタリウムへ
ムック「ようこそプラネタリウム」へは全編プラネタリウム関連記事。楽しみ方から歴史、見どころまで、プラネタリウムのすべてがわかる(表紙は編集中のもの)。

この記事は2025年4月1日にエイプリルフール記事として公開したものです。

「ようこそプラネタリウムへ」を4月22日に(アストロアーツ/星ナビ編集部が)発売するのは本当です。

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