UAEの探査機HOPE、火星に無事到達
【2021年2月10日 UAE Space Agency】
アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「HOPE(ホープ)」は昨年7月20日に日本のH-IIロケットによって鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、約半年間かけて火星に向かっていた(参照:「H-IIAロケット打ち上げ成功、火星探査機HOPE搭載」)。到着予定だった9日から10日にかけては管制を行うUAEのムハンマド・ビン・ラシード宇宙センターの様子がYouTubeなどで中継され、UAEのみならずアラビア語圏を中心に盛り上がりを見せる中、日本時間の10日午前1時過ぎ、無事に周回軌道に投入されたことが確認された。
これまでに火星探査機を周回軌道に投入したり着陸させたりしたのは、米国、旧ソ連、欧州、インドで、UAEはアラブ諸国として初めての成功例となった。
火星周回軌道へ投入前のHOPEの想像図(提供:中継録画「Hope Probe - Mars Orbit Insertion (Without Commentary)」より)
2021年に独立50周年を迎えるUAEは、HOPEの軌道投入成功の喜びに沸いた。主要都市ドバイにある高さ世界一のビル「ブルジュ・ハリファ」では、関係者を称える文字やロケットの打ち上げの動画がプロジェクションマッピングで映し出されたり、火星にちなんでビル全体が赤色にライトアップされたりするなど、大きな盛り上がりを見せている。
赤色にライトアップされたブルジュ・ハリファ(提供:上記中継録画)
今後HOPEは約2年にわたって、高解像度カメラや分光計で火星全体の大気や表面温度などを観測し、火星がどのようにして大気を失ったのかという疑問の解明に役立つ情報の取得を目指す。
HOPEの航路を示したイラスト。画像クリックで拡大表示(提供:UAE Space Agency)
なお今月は、同時期に打ち上げられた中国の火星探査機「天問1号」、NASAの火星探査車「パーサビアランス」も、それぞれ火星に到達する予定だ(参照:「中国の火星探査機「天問1号」、打ち上げ成功」 / 「NASAの火星探査車「パーサビアランス」、打ち上げ成功」)。
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