褐色矮星の表面に木星のような縞模様

このエントリーをはてなブックマークに追加
現在知られている褐色矮星の中で太陽系に一番近いLuhman 16Aに雲の帯があり、木星のような縞模様となっていることを示唆する観測結果が得られた。

【2020年5月14日 HubbleSite

褐色矮星は光り輝くのに必要な核融合反応を持続できなかった「恒星のなり損ない」のような天体で、質量は木星の13倍から80倍もあるが、重力で収縮しているためサイズは木星と同程度である。こうした「惑星」でも「恒星」でもない褐色矮星に、木星や土星のような縞模様が存在しうることが観測により明らかになった。

縞模様の証拠が得られたのは、ほ座の方向約6.5光年の距離にある褐色矮星「Luhman 16A」である。Luhman 16Aはもう一つの褐色矮星「Luhman 16B」と連星を成している。質量はいずれも木星の約30倍、温度も摂氏1000度ほどと同程度で、おそらく同時に形成されたと考えられている。この連星系は、ケンタウルス座α星の3連星とへびつかい座のバーナード星に次いで3番目に太陽系に近い星系だ。

Luhman 16Aの想像図
木星のような縞模様を持つ褐色矮星「Luhman 16A」の想像図(提供:Caltech/R. Hurt (IPAC))

米・カリフォルニア工科大学のMaxwell Millar-Blanchaerさんたちの研究チームは、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTでLuhman 16系からの偏光を調べた。通常、光の波は様々な方向に振動しているが、何らかの要因で特定の方向に振動が偏ることがあり、この状態を偏光と言う。たとえば雲の中の滴のような粒子が光を反射すると、特定の角度に偏光する傾向がある。つまり、遠く離れた星系から届く光の偏光を調べることで、雲の姿を直接観測しなくてもその存在を確認することができる。

「光が何とぶつかったのかを特定するために、観測結果を色々なモデルと比べました。褐色矮星の大気にはっきりとした雲の層がある場合、縞状の雲の帯がある場合、さらには自転速度が速くて褐色矮星が扁平な場合も考えました。その結果、大気中に雲の帯があるモデルだけが、Luhman 16Aの観測結果が一致することがわかりました」(米・セントラルフロリダ大学 Theodora Karalidiさん)。

Luhman 16Aに安定した縞模様がある一方でLuhman 16Bの雲は不規則なまだら模様になっているとみられている。そのため、Luhman 16Bの方だけが表面の明るさが変化している。

偏光を測定する手法は褐色矮星だけでなく系外惑星にも適用できる。恒星の近くを回る高温のガス惑星の大気は褐色矮星のものと似ている。系外惑星は暗く、すぐ近くに恒星があるので偏光の観測はもっと難しいが、褐色矮星から得られた情報が将来の研究に役立つ可能性がある。2021年に打ち上げが予定されているNASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)やNASAが計画中の「近赤外線広視野サーベイ望遠鏡(WFIRST)」によって、系外惑星や褐色矮星の大気と雲に関する研究が進むことが期待される。