衝突クレーターの分布が示すリュウグウの歴史

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小惑星リュウグウの表面に見られる衝突クレーターの分布に、東側と西側で偏りがあることが示された。過去にリュウグウの自転が速かった時期が2回あったか長く続いた可能性を示唆している。

【2019年11月19日 神戸大学

天体の表面に見られる衝突クレーターは、小惑星や彗星が衝突することで形成される。クレーターの分布の様子や個々の深さを調べると、地形の歴史や内部の様子を推測することができ、天体の進化を解明する手掛かりが得られる。

神戸大学の平田直之さんたちの研究グループは、探査機「はやぶさ2」が撮影した画像データを解析し、小惑星リュウグウの衝突クレーターの分布を調べた。解析には、「はやぶさ2」に搭載されている複数のカメラのうち、分解能(解像度)が最も高い望遠の光学航法カメラ「ONC-T」がとらえた5000枚近い画像が使われている。

研究グループでは目視やモデル解析などによってクレーターを選び出し、位置や直径を計測して、それらがリュウグウのどこにあるかを反映した分布図を作成した。すると、クレーターの分布は一様ではなく、偶然では説明できない偏りがあることがわかった。リュウグウでクレーターが最も多い場所は子午線付近から東側の半球のあたり、「サンドリヨンクレーター」に近い地域だった。一方、西半球にはクレーターがほとんどない。

リュウグウ表面のクレーターの位置と大きさを示した全球図
(左)小惑星「リュウグウ」表面のクレーターの位置と大きさを示した全球図、(右)北半球(上段)と南半球(下段)。番号はクレーターのサイズ順。画像クリックで表示拡大(提供:神戸大学リリースより、以下同)

クレーター
今回調べられた86個のクレーター。画像クリックで表示拡大

リュウグウには、赤道に沿って一周するように膨らんだ高地帯「赤道リッジ」がある。この地形は、過去にリュウグウで赤外線の放射による暴走加速が起こって自転が3時間程度だった時代があり(現在は7.6時間)、その時に形成されたものと考えられている。

この赤道リッジと、衝突クレーターの数密度の違い(分布の偏り)が天体表面の古さを示す指標になるという事実を合わせて考えると、リュウグウの自転が高速だった時代が1つではなく、西半球の赤道リッジが比較的新しい時代のもので、東半球のあたりのものはより昔の時代の構造であることが示される。リュウグウの自転が速かった時期が2度あったか、あるいは、そういった時期が何億年にもわたり継続していた可能性を示唆する研究結果だ。

今回明らかになった衝突クレーターの分布は、リュウグウの表層進化に関する様々な研究に利用される貴重なデータベースとなる。さらに、今後探査される他の小惑星のデータとの比較から、新たな発見がもたらされることも期待される。

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