西村さんがさそり座に新星を発見

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静岡県の西村栄男さんが6月10日、さそり座に約12等級の新星を発見した。

【2016年6月13日 VSOLJニュースCBAT

著者:前原裕之さん(国立天文台)

6月に入り梅雨入りした地域では曇りや雨の日が多くなってしまいましたが、晴れていれば夜暗くなった頃に南の空にひときわ赤く明るく輝く接近中の火星や土星、さそり座の1等星アンタレスを見ることができるはずです。そんなさそり座の中にこのほど新星が発見されました。発見したのはこれまでにも多くの新星を発見されている静岡県掛川市の西村栄男(にしむらひでお)さんです。

西村さんは6月10.629日(世界時、以下同、日本時間11日0時ごろ)にさそり座の尾部付近を焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラで撮影した画像から12.4等の新天体を発見しました。この天体は西村さんが6月5.532日に撮影した画像には写っていませんでした。発見の報告を受けて、11日には山形県の板垣公一さんや千葉県の野口敏秀さん、清田誠一郎さん、北海道名寄市のなよろ市立天文台によって確認観測が行われ、Vバンドでは発見時とほぼ同じ明るさの12等台であること、色が赤いことなどがわかりました。また、西村さんの発見の1日前、6月9.596日に群馬県の小嶋正さんが撮影した画像には、すでにこの天体が11.8等で写っていたことがわかりました。板垣さんの観測によると、この天体の位置は以下のとおりです。

赤経  17h38m19.22s
赤緯 -37°25′07.8″ (2000年分点)

さそり座の新星
さそり座の新星の確認観測画像(撮影:清田さん)

6月11.65日には岡山県井原市の美星天文台の1.01m望遠鏡によってこの天体の分光観測が行われ、この天体が強く幅の広いHα輝線を示す天体であること、スペクトルには同様に幅の広いHβ輝線もみられることがわかりました。これらのスペクトルの特徴から、この天体は爆発して間もない古典新星であることが判明しました。

この天体はさそり座λ星の西およそ1度、明るい散開星団M7の南東およそ4度の位置にあります。6月6, 7, 8日にこの付近を撮影した画像をお持ちの方は、新星が写っていないかどうか確認してみてください。

さそり座の新星の位置
さそり座の新星の位置。クリックで拡大(「ステラナビゲータ」で表示)

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