日本の観測家3人がへびつかい座の矮新星を発見

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【2014年5月9日 VSOLJニュース(313)

日本の新天体捜索家3人が、4月11日に出現したへびつかい座の矮新星をそれぞれ独立に発見した。


VSOLJニュースより(313)

著者:大島誠人さん(京大理)

ゴールデンウィークも終わり、日差しが次第に強まりつつある昨今ですが、日本人の新天体捜索家の人々の手によってまた新たな矮新星が発見されました。

発見したのは、これまでにも多くの新天体を発見していることで知られる静岡県掛川市の西村栄男さん、群馬県嬬恋村の小嶋正さん、および茨城県水戸市の桜井幸夫さんの3人です。このような各地の捜索者の方が発見者として並ぶのは、これらがいずれも独立発見だったことによります。

まず西村さんは4月11.747日(世界時。日本時間12日2時55分)に、200mm望遠レンズを取り付けて撮像した画像からへびつかい座に10.7等級(ノンフィルター)の新天体を発見しました。この天体は、10.699日(同11日1時46分)の時点で撮られた画像には写っていなかったとのことです。

またこれとは独立に、小嶋さんが4月11.757日(同12日3時10分)にこの天体を発見し、10.749日(同11日2時58分)に85mmの望遠レンズを用いて撮像した画像には写っていなかったことを報告しました。

さらに桜井さんが、180mmの望遠レンズを用いて11.780日(同12日3時43分)に撮影した10.6等のこの天体を新天体として報告しました。10.792日(同11日4時0分)に撮った画像ではこの天体は写っていなかったとのことです。以上のような流れで、この天体を3人が独立の捜索で発見したということになります。

これを受けて、サーベイ観測を行っている東京大学木曽観測所の前原裕之さんはこの天体が4月10.761日(同11日3時15分)の時点では13.1等(V等級)より暗く、11.759日(同12日3時12分)には10.9等(V等級)まで明るくなっていたと報告しました。正確な位置は以下のとおりです。

  赤経  17時14分42.55秒
  赤緯 -29度43分48.1秒(2000.0年分点)
  へびつかい座の矮新星の周辺星図

その後、紫外線衛星「GALEX」が強い紫外線源をこの発見位置の近くに見つけていたことが指摘されました。このような天体は矮新星の可能性が示唆されます。さらに岡山県の藤井貢さんがこの天体の分光観測を行ったところ、同じくこの天体が矮新星である可能性が強いという結果が得られました。

これを受けて連続測光観測が行われ、早期スーパーハンプと思われる周期0.05958日の変動が検出されました。さらに4月27日には早期スーパーハンプから通常のスーパーハンプに成長し始めるところが観測されました。

この天体はその後少しずつ減光していますが、極大光度が10.7等というのは矮新星としてはかなり明るい部類といえます。このように明るい矮新星がこれまで未発見だったのは、この天体のアウトバーストの頻度が非常に低いためと考えられます。早期スーパーハンプが2週間以上にわたって続いたこともこれを裏付けています。このような天体は連星の進化の観点から非常に興味をもたれており、今後の研究が待たれます。

今回の発見は興味深い矮新星の発見ということもさることながら、3人の日本人による独立発見という点も注目されます。日本における新天体捜索の活発さを裏付けるエピソードといえるのではないでしょうか。


へびつかい座の矮新星の位置

この天体を天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」で表示して位置を確認できます。まず「ツール」メニュー→「データ更新」で新天体データを取得してから、「へびつかい座の矮新星(2014)」を検索・表示してください。

また、新しいデータや番組をオンラインで入手できる「コンテンツ・ライブラリ」(「コンテンツ」メニューより)では、新星をわかりやすく×印で表示するための「新星(マークで表示)」ファイルも公開しています。あわせてお楽しみください。

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