連星の核を持つ彗星288P

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ハッブル宇宙望遠鏡による観測で、小惑星帯に位置する彗星288Pには核が2つあることがわかった。小惑星帯にある彗星で、連星として観測された初めての天体である。

【2017年9月27日 ヨーロッパ宇宙機関NASA

小天体2006 VW139は2006年11月に米・スペースウォッチ・プロジェクトで発見された天体で、火星と木星の間にある小惑星帯に存在し5.3年周期で公転している。発見当初は小惑星と考えられていたが、その後に米・パンスターズ望遠鏡による観測から彗星として活動していることがわかり、288Pの符号が付けられた(名称はまだ決まっていない)。

独・マックス・プランク研究所のJessica Agarwalさんたちの研究グループが、この彗星が近日点を通過する2か月前の2016年9月にハッブル宇宙望遠鏡で観測を行ったところ、ほぼ同じ質量と大きさを持つ2つの小惑星が約100km間隔で彗星の核の部分に存在し、お互いに周回していることがわかった。小惑星帯にある彗星(メインベルト彗星)が連星として観測されたのは初めてである。

288P/2006 VW139
2016年8月から9月にかけてハッブル宇宙望遠鏡で撮影した288P/2006 VW139。1か月弱の間に互いの星を周回している様子がわかる。9月20日以降は彗星の尾の方向が変わり始めている(提供: NASA, ESA, and J. Agarwal (Max Planck Institute for Solar System Research))

研究グループではこの彗星の成り立ちについて、およそ5000年前に高速回転によって2つに分裂し、それ以来連星として存在していると推測している。「小惑星帯にある他の連星小惑星の特徴とも異なっており、どうやって小惑星帯に存在しているのかという謎も残っています。今後、似たような天体のさらなる研究や観測が必要です」(Agarwalさん)。

このような天体の起源や進化を理解することは、太陽系全体の形成と進化を理解する上で重要な要素であり、どうやって地球に水がもたらされたのかを解明する鍵ともなり得る。