さよなら、「カッシーニ」

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NASAの土星探査機「カッシーニ」は9月15日の夜に予定どおり土星の大気に突入し、打ち上げから20年にわたるミッションを終了した。

【2017年9月19日 NASA JPLNASA

NASAの土星探査機「カッシーニ」は、9月15日の早朝(日本時間、以下同)から最後の観測データの送信を14時間半かけて行った。その後、同夜19時30分ごろにエンジンの噴射を開始して土星の大気に突入し、20時55分にカッシーニからの最後の信号が地上局に届いた。そして通信が途絶え、打ち上げから20年にわたったミッションが終わりを迎えた。

プロジェクトマネージャーEarl Maizeさんと探査機運用チームのマネージャーJulie Websterさん
「カッシーニ」の土星大気突入後、ミッションの終了を受けて抱き合うプロジェクトマネージャーEarl Maizeさん(中央左)と探査機運用チームのマネージャーJulie Websterさん(同右)(提供:NASA/Joel Kowsky)

「これは、素晴らしきミッションの最終章ですが、始まりでもあります。カッシーニによる、衛星『タイタン』や『エンケラドス』における海の発見は、地球以外の生命探しを行う意外な場所に対する私たちの見方を根本から揺さぶり、すべてを変えました」(NASA科学ミッション局副長官 Thomas Zurbuchenさん)。

「嬉しさと悲しさが混じり合う、愛情のこもったミッションとの別れです。カッシーニは、驚くほど様々な発見によって、土星と太陽系に対する私たちの見方を変えました。今後も将来のミッションや研究に影響を及ぼし続けることでしょう」(NASAジェット推進研究所 Michael Watkinsさん)。

カッシーニが突入した土星の表面の位置
(白い丸)カッシーニが突入した土星の表面の位置(北緯9.4度、西経53度)。カッシーニに搭載の可視光線・赤外線マッピング分光器による観測データから作成(提供:NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)

カッシーニは1997年10月に米・フロリダ州ケープ・カナベラル空軍基地から打ち上げられ、2004年に7月に土星に到着した(参照:「土星探査機カッシーニ、無事に土星の周回軌道へ、初画像を送信」)。当初の予定では2008年6月までだったミッションは2010年まで、さらに2017年までと2度の延長を経て、土星到着から13年にわたる長期探査となった(参照:「発見は続く!土星探査機カッシーニのミッションが延長に」)。

2度目の延長となった2010年以降、カッシーニは「タイタン」や「エンケラドス」など氷に覆われた土星の衛星へのフライバイ(接近通過)を数十回行った。今回カッシーニを土星の大気へと突入させてミッションを終了させる大きな理由は、こうした衛星、とくに地下海や熱水活動の存在が示唆されているエンケラドスの環境を、探査機が乱すことがないようにという配慮によるものである。

13年にわたったカッシーニの探査は先週金曜日に幕を閉じたが、これまでに収集・送信されたデータは膨大だ。土星大気突入の直前に取得されたデータは、土星の形成や進化、大気中で起こっている様々なプロセスの理解に役立つ情報など、新たな見識につながるものと期待される。さらに今後数十年にわたって続くデータの分析から、巨大なガス惑星の磁場や環、衛星に関する新たな発見があるだろう。

「私たちは、カッシーニが長年にわたって地球へ送信してきた山のようなデータの表面を引っかいたに過ぎません。カッシーニの存在はなくなっても、探査の賜物である観測データの分析は今後何年も続きます」(カッシーニ・プロジェクトサイエンティスト Linda Spilkerさん)。「もう探査機は飛行していませんから、決して同じというわけにはいきませんが、カッシーニ運用チームに参加した私たちは夜空に土星を見上げるたび、カッシーニの一部がそこに存在し続けていることがわかり、元気づけられます」

カッシーニが最後に見た土星の映像(1分過ぎから)などから作られた動画(提供:NASA JPL)

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