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土星を見よう(2017年)

2017年の土星は、さそり座の北、へびつかい座の領域にあり、6〜9月ごろに観察しやすくなります。やや低めですが、0等級と明るいので町中でも肉眼で見つけられます。

今年は土星の北側が地球のほうに最も傾いているので、環が大きく開き見やすくなっています。天体望遠鏡で観察してみましょう。探査機「カッシーニ」関連のニュースにも注目です。

土星を見つけよう

南の空に見える明るい黄白色の星

土星の明るさは約0等級で、町中でも肉眼で簡単に見つけられます。「南の空のやや低いところに見える、クリーム色の明るい星」と覚えておけばわかりやすいでしょう。7月ごろまでは木星も明るく輝いていますが、「木星のほうが明るい」「木星のほうが西寄り(南を正面として右寄り)」という点で区別が付けられます。

2017年の土星は「へびつかい座」の足元付近に位置しており、へびつかい座の南(下)にある「さそり座」の赤い1等星アンタレスと少し離れて並んで見えます。色や明るさの違いを見比べてみましょう。

土星が南中する(真南に来て、地平線からの高度が最も高くなる)のは、東京の場合10月中旬で午後3時半ごろ(日没前)-->です。また、南中から沈むまでは約5時間です。南中時でも高度は30度ほどとあまり高くならないので、空が暗くなったらなるべく早めに観察するとよいでしょう。

2017年10月15日 22時の星図

2017年10月中旬 18時の空(東京)。クリックで星図拡大(ステラナビゲータで星図作成)。
5月23時6月22時7月21時8月20時9月19時10月18時

土星に関する諸現象

2017年6〜10月ごろまでに起こる、土星に関する諸現象は以下のとおりです。月との接近は、やや間隔は大きくなりますが前後の日にも見ることができます。

日付 現象備考
5月25日 太陽から見て土星の環が最も開く土星の北半球の夏至
6月 9日 月(月齢15)と接近宵から翌日明け方
6月15日
(しょう)
太陽の正反対に来る
(深夜に南に見える)
7月 7日 月(月齢13)と接近夕方から翌日未明
8月 3日 月(月齢11)と接近夕方から翌日未明
8月26日
(りゅう)
この日を境に、天球上を西→東に動くようになる
8月30日 月(月齢9)と接近夕方から深夜
9月12日 東矩
(とうく)
太陽から90度東に離れる
(日没のころ南に見える)
黄道座標系では14日
9月27日 月(月齢7)と並ぶ夕方から宵
10月17日 地球から見て土星の環が最も開く
10月24日 月(月齢5)と接近夕方から宵

星図(10月24日 月と土星が接近)

10月24日の夕方から宵、月と土星が接近。画像クリックで現象ガイドの解説ページへ(ステラナビゲータで星図作成)。

土星は、10月下旬以降は太陽に近づいて見えにくくなり、12月下旬に合(太陽と同じ方向になること)を迎えて見えなくなります。その後は2018年1月中旬ごろから、明け方の東天に見えるようになります。

モバイルツールでシミュレーション

iOS用の「iステラ」「iステラHD」やアンドロイド用「スマートステラ」などのモバイルアプリを使うと、土星のある方向や周りの星、星座の名前が簡単にわかります。日時を変化させて月との接近をシミュレーションすることもできます。

他の製品は ›› モバイル製品情報

スマートステラでのシミュレーション

7月7日に月と土星が接近する様子をスマートステラで表示。コンパス連動時には実際の空で見える方向までナビゲーションしてくれる。クリックで拡大。

望遠鏡で環を見よう

土星の環を見るためには天体望遠鏡が必要ですが、それほど大口径のものや高い倍率でなくても大丈夫です。双眼鏡でも、手振れを抑えれば「真ん丸ではなく、何となく楕円っぽく見える」ことはわかるでしょう。手持ちの道具があれば、まずそれを土星に向けてみてください。

口径の大きい望遠鏡を使うと、環の中にある「カッシーニの間隙」と呼ばれる隙間や、8等級の衛星「タイタン」も見えてきます。公開天文台や科学館の観望会では大きい天体望遠鏡で土星を見ることができますので、ぜひ参加してみましょう。
観望会情報は「パオナビ」でチェック ›› PAO Navi:全国プラネタリウム&公開天文台情報

土星

探査機「カッシーニ」が撮影した土星。表面の縞や極域の六角形の模様、環の中ほどにあるカッシーニの間隙などが鮮明に見える。クリックで拡大(photo: NASA/JPL/Space Science Institute)。

変化する環の見え方

土星は地球と同様に傾いた状態で公転しているため、土星の赤道面に沿って広がっている環の見え方(見かけ上の太さ)は、年々変化します。今年2017年は土星の北側が最も地球(太陽)の方向に傾くような位置となる(土星の北半球の夏至となる)ため、環の見え方もここ数年で一番太く広いものとなります。

来年以降は環がだんだん細く見えるようになります。そして2025年には環を真横から見るような位置関係となるために、見かけ上土星の環が消えてしまう「環の消失」が起こります。さらにその後は土星の南半球が見やすくなるのに伴って再び環が太くなっていき、2032年に今回とは反対の面が一番広く見えるようになります。

環の見え方の変化

1995年から2013年までの環の見え方の変化(撮影:mtajimaさん、クリックで投稿画面ギャラリーへ)。1995年に環が消失→2002年に(南側に)傾き最大→2009年に環が消失→現在にかけて傾きが大きくなってきている(北側が見やすくなっている)。

ステラナビゲータで見え方をシミュレーション

天文シミュレーションソフトウェア「ステラナビゲータ」では、土星の見え方やタイタンの位置などを正確にシミュレーションできます。観測や撮影に便利です。環の傾きの変化も調べられます。

ステラナビゲータ活用法はこちら ›› ステラナビゲータで土星をシミュレーション
(2015年の例ですが、2017年にも応用できます)

「ステラナビゲータ」で土星をシミュレーション

天体望遠鏡の購入はオンラインショップで

アストロアーツのオンラインショップでは、天体望遠鏡などを多数取り扱っています。環を自分の目で観察してみましょう。ライトやクッションなどの便利グッズや、太陽系のことが詳しくわかる書籍などもあります。

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土星に関するマメ知識

土星は大きさ(環を含まない、赤道部分の直径)が地球の約9倍ある、木星に次いで太陽系で2番目に大きい巨大ガス惑星です。太陽からおよそ14億km離れており(太陽〜地球の約10倍)、30年かけて公転しています。

表面には木星と同様に縞模様が見られます。また、北極域には六角形の不思議な模様が存在しています。

土星最大の特徴は何と言っても「環」でしょう。環は主に、直径数cmから数mの氷の粒が同心円状に集まってできていて、ところどころに隙間が見られます。幅(明瞭な部分)は土星本体の約2.3倍のところまで広がっていますが、厚みは数百mほどしかありません。

環

探査機カッシーニが撮影した土星の環(photo: NASA/JPL/Space Science Institute、以下同)。

衛星

土星には60個以上の衛星が見つかっています。そのうちとくに興味深いのは、タイタンとエンケラドスです。

タイタンは土星最大の衛星で、窒素を主成分とする厚い大気を持っています。メタンの雨が降り、表面に液体のメタンやエタンの川や湖が存在しています。

エンケラドスでは、地下から水蒸気が間欠泉のように噴き出している現象がとらえられており、地下に液体の水が存在すると考えられています。

ほかにも、巨大なクレーターを持つミマス、表面の色がきれいに二分されているイアペタス、環を安定させる役割を果たす羊飼い衛星のプロメテウス、パンドラなど、面白い衛星が多数あります。

タイタン

近赤外線で撮影したタイタン。大気を通して「Senkyo(仙境)」という地形がとらえられている。

エンケラドス

エンケラドス。水蒸気の噴出が見える。

エンケラドス、環、タイタン

手前からエンケラドス、環、タイタン。

多数の衛星

多数の衛星。(左)ヤヌス、(中央)パンドラ、(中央上)エンケラドス、(右)ミマス、(右端)レア。

探査機カッシーニ

土星探査機「カッシーニ」は2004年から土星を周回しながら、土星の大気や模様、環の構造、衛星の特徴などを詳しく調べています。前述したタイタンやエンケラドスに関する発見など科学的な成果だけでなく、数々の美しい画像ももたらしてくれています。多数の衛星が環や本体の細かい模様と共に写し出されるのは、土星の近くを飛び回る探査機の視点ならではです。

打ち上げから20年、周回探査開始から13年を迎えたカッシーニは、今年9月15日に土星大気に突入してミッションを終了します。最後の約5か月間は「グランドフィナーレ」と名付けられた、土星本体と環の間の隙間を繰り返し潜り抜ける探査を実施します。

カッシーニの探査のハイライト(クレジット:NASA/Jet Propulsion Laboratory-Caltech)