「宇宙の星形成史を辿る」研究をクラウドファンディングで支援しよう

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徳島大学の古屋玲さんたちを中心とした研究チームがクラウドファンディングで寄付を募っている。星や惑星系形成における磁場の役割を解明するためにハワイの天文台でサブミリ波による観測を計画しており、そのための渡航費用を支援するというものだ。

【2016年4月22日 アカデミスト

恒星やその周りの惑星系は球状のガス雲から誕生するが、その過程で磁場が重要な役割を果たすと考えられている。ガス雲の中心部を観測すると磁場の影響に関するヒントが得られるかもしれないのだが、ガスの密度が濃いため、可視光線で中心部を見ることはできない。

ぎょしゃ座AB星の周囲の構造
すばる望遠鏡がとらえた、約100万歳と若いぎょしゃ座AB星の周囲の構造。ぎょしゃ座AB星そのものは観測のため黒いマスクで隠されている (提供:国立天文台)

徳島大学の古屋玲さんたちの国際研究チーム「BISTRO(B-fields In STar forming RegiOns)-J」では、透過力の高いサブミリ波の波長でガス雲の中心部を観測して磁場の役割を解明する研究を進めている。ガス雲に磁場がかかると、ガスの中にある塵の向きが揃ってサブミリ波が偏光する。サングラスなどで使われている偏光ガラスと同じ原理のサブミリ波偏光板を望遠鏡に取り付け、偏光板を回転させると、検出されるサブミリ波の強度が変わる。その様子から磁場を探るのだ。

BISTRO-Jメンバー
BISTRO-Jメンバー(提供:BISTRO-J)

サブミリ波は大気で吸収されるため、地上から観測する場合には大気が薄い高い山の天文台で行う必要がある。BISTRO-Jチームが観測を計画しているのはハワイ島マウナケア山頂の天文台だ。また、正しいデータの取得には望遠鏡の特性を考慮したソフトウェアを開発することが重要で、その準備のためには現地に赴かなければならない。そこでBISTRO-Jチームでは、クラウドファンディングを通じて、ハワイ島への渡航費用の支援をお願いしている。

クラウドファンディングの寄付金は1000円から5万円まで。支援額に応じて、オリジナルポストカードやメンバーが執筆した『第二の地球を探せ!「太陽系外惑星天文学」入門』のサイン入り書籍、メンバーの案内による国立天文台見学ツアーなどがお礼として提供される。ぜひプロジェクトの支援者となり、宇宙の謎解きという大きな夢に挑戦する醍醐味を研究チームとともに味わってみよう。