126億光年彼方の宇宙で成長中の小さな銀河

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126億光年彼方の宇宙にある若い銀河の形を詳細に観測し、コンピュータシミュレーションの結果と合わせて調べたところ、1個に見える銀河のいくつかは実際には2個以上の小さな銀河の集まりと考えても説明できることが明らかになった。初期宇宙で小さな銀河が衝突して星を活発に形成し、大きな銀河へと育っていく途上を見ているものと思われる。

【2016年3月10日 すばる望遠鏡愛媛大学

誕生から138億年が経過した現在の宇宙には、天の川銀河のような巨大銀河がたくさん存在している。しかし、宇宙誕生直後からこのような巨大銀河があったわけではない。銀河の種(冷たいガス雲)ができたのは宇宙年齢が2億歳から3億歳の頃で、大きさは現在の銀河の100分の1程度、質量は100万分の1程度だ。その中で、宇宙の「一番星」が生まれた時が銀河の誕生である。その後、小さな銀河の種は周囲にあった同様の種と合体し成長してきたと考えられているが、これまで銀河の成長の様子を詳しく見ることはできていなかった。

愛媛大学などの研究者からなるチームは、すばる望遠鏡の主焦点カメラSuprime-Camを使って126億光年彼方の銀河を多数発見し、その形をハッブル宇宙望遠鏡(HST)で詳細に調べた。すると、54個の銀河のうち8個は、2個の小さな銀河が衝突しているように見えることがわかった。

2個の小さな銀河が衝突しているように見える例
54個の銀河のうち、2個の小さな銀河が衝突しているように見える例(提供:愛媛大学、以下同)

さらに、残る46個の若い銀河には少し細長い形をしているものが多いことに気づき、これらはHSTでも分解できないほど小さい2個の銀河同士が近づいているものではないかと考えてコンピュータシミュレーションを行った。すると、シミュレーションの結果と観測結果が見事に一致した。この結果は、2個の小さな銀河が近づいていたために1個の銀河に見えていたという解釈を支持するものだ。また、1個に見えるものは銀河同士の距離が近いため、銀河衝突の影響で星形成が活発である可能性が高いはずと予測されるが、これも観測から予測どおりであることが明らかになった。

1個の細長い銀河に見える例
1個の細長い銀河に見える例

これまでにも若い銀河の形はHSTで調べられてきたが、1個に写っているものは1個の銀河であると断定して解析が進められてきた。しかし今回の研究から、HSTでも分解できないくらい小さな2個以上の銀河が衝突しつつある姿が見えてきた。既存の世界最高レベルの望遠鏡をもってしても到達できない観測分野については、口径30m望遠鏡(TMT)やジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による新たな深宇宙探査が待たれるところだ。