X線観測天文衛星ASTRO-H、2月12日に打ち上げ
【2015年12月17日 JAXA】
今年度中を目標として準備が進められてきたX線観測衛星「ASTRO-H」の打ち上げが、2016年2月12日(金)に実施されることが発表された。18時前後に種子島宇宙センターからH-IIAロケット30号機で打ち上げられる予定だ。
ASTRO-Hは宇宙航空研究開発機構(JAXA)がNASAやカナダ、ヨーロッパ宇宙機関などと共同で開発を進めてきた衛星で、搭載された2種類の望遠鏡と4台の検出器でX線やガンマ線の波長で観測を行う。今夏に観測を終了した「すざく」と比べて8倍高いエネルギーまで集光し30倍正確に分光できるなど、X線光子のエネルギーを超高精度に測定する能力と広いエネルギー域を同時に観測する能力に、とくに重点を置いた設計となっている。
X線やガンマ線は宇宙の高温・高エネルギー現象から放射される電磁波であり、ASTRO-Hによるブラックホールや超新星残骸、銀河団の高温プラズマなどの観測から「宇宙の成り立ちを調べる」「極限状態での物理法則を検証・解明する」ことが大きな研究テーマだ。
観測を行うASTRO-Hの想像イラスト(提供:JAXA)
1979年打ち上げの「はくちょう」以来、「てんま」「ぎんが」「あすか」「すざく」と、日本のX線天文衛星は世界をリードする活躍を続けてきた。ASTRO-Hにも、世界中から大きな期待が寄せられている。
〈参照〉
〈関連リンク〉
- JAXA: http://www.jaxa.jp/
- 星ナビ.com: http://www.hoshinavi.com/
- 2016年1月号 連載「天文学の20世紀」第20回「日本のX線天文学を牽引 小田 稔」
〈関連ニュース〉
- 2015/08/27 - X線天文衛星「すざく」が観測終了