冥王星の衛星「ニクス」と「ヒドラ」、予測不可能な不規則自転

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ハッブル宇宙望遠鏡の観測から、冥王星の衛星ニクスとヒドラが予測不可能な自転をしていることが明らかになった。これらの天体の表面に立ったとすれば、いつどの方向に日の出が見えるのかすらわからないだろう。

【2015年6月9日 HubbleSite

ハッブル宇宙望遠鏡(HST)による観測から、冥王星の衛星ニクスとヒドラが予測できないほど無秩序な自転をしていることがわかった。冥王星と、冥王星の約8分の1という大きな質量を持つ衛星カロンが互いの周りを回ることによって重力場に変化が生じ、その重力場の中に他の小衛星が存在しているためだ。小衛星が球形ではなくフットボールのような楕円形をしていることも不規則な自転に関係があるという。

自転するニクスの想像図
自転するニクスの想像図(提供:NASA, ESA, M. Showalter (SETI Institute), and G. Bacon (STScI))

月やカロン、木星のガリレオ衛星などは自転周期と公転周期が一致しており、中心の天体に対して常に同じ面を向けている。これは衛星と惑星(や冥王星)との間に働く重力の影響の結果だ。しかし、たとえば土星の衛星ハイペリオンは、土星と衛星タイタンの重力によって不規則な自転をしている。冥王星のニクスとヒドラ、さらにケルベロスとステュクスも同様かもしれないという。

HSTの観測からは、衛星のうちケルベロスだけが練炭のように暗く、他は白い砂のように明るいこともわかった。どの衛星も同じように小天体の衝突で飛び散ったちりに覆われていると予測されていただけに、この観測結果は意外で刺激的なものとなっている。また、ニクス、ステュクス、ヒドラが軌道共鳴の関係にあり公転周期の比率が簡単な整数になっていることも確認された。

今年7月には探査機「ニューホライズンズ」が冥王星系に最接近して観測を行う予定だ。ケルベロスの色の問題や、HSTでは明らかにならなかった冥王星系の謎を解くヒントが得られることだろう。「わたしたちが行ったHSTのデータ分析はプロローグに過ぎません。ニューホライズンズが冥王星に到達すれば、わたしたちはまた驚かされつづけることになるでしょう」(SETI研究所のMark Showalterさん)。

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