2022年の主要なミラ型変光星の光度変化予測
【2022年1月5日 高橋進さん】
「ミラ型変光星」は数か月から1年あまりくらいの周期で光度変化を見せる脈動変光星です。光度変化が大きいことから変光の様子がわかりやすく、初心者の方でも観測が容易です。一方で多くの観測者によるデータを集めることで変光の様子が割と明らかにされており、ベテランの方の観測対象としても人気のある変光星です。
こうしたミラ型変光星の中でも明るく観測しやすい9星について、いつどれくらいの明るさかの予想グラフを作成しました。ぜひ参考にして観測に役立てていただければと思います。ただし実際には明るさが1~2等級ずれることもありますし、極大や極小の時期が1~2か月変わることもあります。あくまで目安としてご利用ください。
2022年の見どころですが、まずクリムズンスター(クリムゾンスター)とも呼ばれるうさぎ座R(R Lep)が2月下旬に極大を迎えます。炭素星独特の深い赤い色が特徴的な星ですが、極大時には6等台になり双眼鏡でもその様子を楽しむことができます。
次に、ミラ型変光星の中でも変光幅が大きくダイナミックな変光が楽しめるはくちょう座χ(χ Cyg)は5月初旬が極大で、5等くらいで見ることができます。長い首をきれいに伸ばしたはくちょう座ですが、はくちょう座χの極大の時には首が少しねじれた姿が楽しめます。ぜひお楽しみください。
続いてしし座の前足にあるしし座R(R Leo)が7月中旬におよそ5等の極大を迎えます。ただ、この時期のしし座は夕方の低空で観測には厳しい時期です。一方で5~6月の時期には極大に向かって急速に明るくなっていく様子が楽しめます。ミラ型変光星の多くは減光していく時はわりとゆっくりですが、増光していく時は急激に明るくなっていきます。2~3日で0.1等ほどのスピードで明るくなっていきますので、毎日でも観測したいところです。
そしてミラ型変光星の代表星のくじら座のミラ(くじら座ο、ο Cet)ですが、2022年は7月中旬に極大を迎える見こみです。ただ、この時期のミラも夜明け前の東天の低空で、観測はなかなか困難です。残念ですが、秋の夜空でゆっくりと減光していく様子を楽しんでいただきたいと思います。
さて、変光星観測というときちんと目測して光度曲線を描く楽しみがありますが、それ以外にも、星野写真の中に思いがけず明るくなっている変光星を見つけるという面白さもあります。とくにミラ型変光星は赤い色が特徴的で、写真の中でも見つけやすい対象です。写真ではいわゆる眼視等級より明るく写ってしまい驚かされることもありますが、撮影時期が異なる写真を見比べると変光の様子を楽しめるでしょう。ぜひこの機会に恒星の脈動の様子をお楽しみください。
星ナビ2022年1月号ではこのほか、さそり座δジュバやペルセウス座βアルゴルなどミラ型変光星以外も解説いただいています。
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