直接撮像で迫る太陽系外巨大ガス惑星と褐色矮星の形成過程

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ケック望遠鏡とすばる望遠鏡による高解像度の直接撮像観測とモデル計算から、主星から遠い巨大ガス惑星と褐色矮星とが異なる軌道の特徴を示すことが明らかにされた。それぞれの形成過程の違いを反映している可能性がある。

【2020年2月18日 ケック天文台すばる望遠鏡

恒星の周囲を公転する褐色矮星や巨大ガス惑星を直接観測することは、中心の主星の光が明るすぎるために非常に困難だ。しかし近年では技術の進展により、主星のそばにある暗い天体を見ることができるようになり、恒星を巡る褐色矮星は1995年、系外惑星は2008年に、初めて直接観測された。

褐色矮星の質量は木星の13~75倍とされており、恒星と惑星の中間的な性質を持った天体だ。では、木星の数倍~10倍ほどの質量を持つ巨大ガス惑星と軽い褐色矮星との間には、どのような違いがあるだろうか。米・テキサス大学オースティン校のBrendan Bowlerさんたちは、巨大ガス惑星と褐色矮星の軌道に着目した研究により、この問題に取り組んだ。

Bowlerさんたちは米・ハワイのケック望遠鏡とすばる望遠鏡で、巨大ガス惑星あるいは褐色矮星が公転している27の星系を観測し、これら伴天体の運動の様子を調べた。ただし、伴天体の公転周期は数百年に及ぶものもあるため、観測でわかるのは軌道のほんの一部だ。過去の観測データも、直接撮像が可能になってから以降の20年分ほどしかない。

次に研究チームではコンピューターシミュレーションによって、観測された伴天体の軌道を再現するようなモデルを調べた。このシミュレーションでは、個々の天体が描く可能性のある軌道の一群が形成される。この軌道の集まりが小さいほど、軌道がより実際のものに近い可能性が高いことを表している。また、観測期間が長いほど確実性は向上する。

巨大ガス惑星と褐色矮星の軌道群の例
巨大ガス惑星と褐色矮星の軌道群の例(提供:Brendan Bowler (UT-Austin)、以下同)

研究チームがモデルで再現した27星系の伴天体を調べたところ、木星質量の約15倍より軽い巨大ガス惑星ではどれも軌道の形が円形に近く、それより重い天体の軌道の形は、様々なつぶれ具合の楕円であるという違いがはっきりと見られた。

巨大ガス惑星と褐色矮星の軌道形状の分布
中心星から離れた公転軌道を描く巨大ガス惑星と褐色矮星の軌道形状の分布。軌道離心率(横軸)が0は円軌道で値が大きくなるほどつぶれた楕円軌道になる

軌道の形状は、その天体がどのように形成されたかに関わっている。もし軌道が円形に近ければ、その天体は惑星のように作られたと考えることができる。ガスと塵の雲が自己重力で集まって恒星が形成されると、中心星を取り巻くガスや塵の円盤ができ、その円盤の中で惑星が作られるからだ。一方、軌道が楕円であれば、ガスと塵の雲が分裂してそれぞれの場所で天体が形成され連星系となったと考えられるので、この天体は惑星ではなく恒星や褐色矮星であると推測される。

今回の結果から、伴天体の質量によって軌道の形状の特徴が異なる傾向が示され、それぞれの形成過程が異なる可能性が明らかになった。研究チームでは今後も観測を継続して27星系の軌道の精度を向上させるとともに、新たな巨大ガス惑星や褐色矮星の直接観測によって研究の幅を広げる計画を立てている。

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