皆既月食中にとらえられた月面衝突閃光

このエントリーをはてなブックマークに追加
1月21日の皆既月食中、流星体の衝突によるものとみられる月面上の閃光が世界各地で観測された。月食中の月面衝突閃光がとらえられたのは史上初だ。

【2019年1月28日 国際流星機構

満月となった1月21日(世界時。以下同)、日本では昼間の時間帯に、南北アメリカ大陸を中心とした広い地域で皆既月食が見られた。月が地球の影にすべて入り皆既食となったころの4時41分38秒、月面の南西部にある「湿りの海」で0.3秒ほどの閃光が見られ、モロッコ、アメリカ、オランダ、スペインなど世界各地で観測された。

皆既月食中の月面衝突閃光
スペインの「MIDASサーベイ」プロジェクトで観測された月面衝突閃光。右側の写真の矢印の部分の白い点が閃光(提供:MIDAS Survey、以下同)

スペインの月面衝突閃光観測プロジェクトMIDASが同国内3か所に設置した高感度カメラの映像から、この閃光が流星体の衝突によるものであることが確認された。皆既月食中に衝突閃光が観測されたのは史上初めてのことだ。

セビリヤで記録された月面衝突閃光

高感度カメラで記録された月面衝突閃光

詳細な分析は現在も進行中だが、閃光のエネルギーから、今回月面に衝突したのは大きさ約30cm、質量約10kgの彗星由来の物質で、秒速約17kmで月面に衝突し直径約7~10mのクレーターを作ったと推定される。

この衝突閃光の2分後にも別の閃光とみられる現象が英・グリニッジ天文台でとらえられており、1回目の閃光とともに詳細分析が進められている。