若い恒星の集団中に、惑星質量の孤独な星

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若い恒星の集団「うみへび座TWアソシエーション」で、惑星質量の天体が発見された。どうやら、その正体は褐色矮星であるようだ。

【2016年4月21日 NASA JPL

天の川銀河は、どうやら宇宙空間に浮かぶ孤独な惑星であふれているらしいという研究成果が5年前に発表された。暗闇の宇宙で、仲間となる他の惑星を持たず、まして中心星も存在せず、ただ静かにたたずむ惑星の数が、他の天体より多いのかもしれないという。

もしこれが本当だとすれば、そのような浮遊天体はどこから来たのだろう。自らが誕生した太陽系から追い出された惑星なのか、それとも実際には他の恒星と同じように単独で生まれた、軽い天体である「褐色矮星」なのだろうか。

米・トレド大学のAdam Schneiderさんたちの研究グループは、NASAの赤外線天文衛星「WISE」(現・NEOWISE)と2μm全天観測(Two-Micron All Sky Survey; 2MASS)プロジェクトのデータを利用した研究から、これらの疑問を紐解く手がかりとなる天体を発見した。

研究グループが見つけたのは、地球から約160光年の距離に位置する30個ほどの恒星の集団「うみへび座TWアソシエーション」の中に存在する、木星の5~10倍と非常に軽い浮遊天体「WISEA J114724.10-204021.3(WISEA 1147)」だ。こうした浮遊天体の存在はわずかしか知られていない。

褐色矮星と思われるWISEA 1147の想像図
低質量の褐色矮星と思われるWISEA 1147の想像図(提供:NASA/JPL-Caltech)

うみへび座TWアソシエーションの星々の年齢は、500万歳から1000万歳ととても若く、そのためWISEA 1147も約1000万歳と考えられる。一方、惑星が形成されるには少なくとも1000万年を要し、その惑星が誕生した生まれ故郷から追い出されるのはさらに後のことだろうと考えると、WISEA 1147は惑星ではなく褐色矮星と考えられる。

無数に存在するとみられる孤独な浮遊天体のうち、褐色矮星と惑星の割合がどうなっているのかは全く不明だ。その割合を解明するためには、WISEA 1147のような天体を調べ誕生の起源に迫ることが重要になってくる。