太陽と同タイプの恒星のハビタブルゾーンに地球サイズの系外惑星
【2015年7月27日 NASA】
NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」が、はくちょう座の方向1400光年に位置する恒星に系外惑星を発見した。特筆すべきは、恒星が太陽に似ていること、惑星が地球と似たサイズであること、そして惑星が、水が液体で存在可能な領域「ハビタブルゾーン」に位置していることだ。
ケプラー452とその周りを回るケプラー452bの想像図。表面に液体の水が存在している場合、上空には雲も広がっていると考えられる(提供:NASA/Ames/JPL-Caltech、以下同)
「これまでで最も地球と太陽に似た惑星系の発見です。このエキサイティングな成果によって、第2の地球発見へと一歩近づきました」(NASA科学ミッション委員会 John Grunsfeldさん)。
中心星の「ケプラー452」は太陽に似たG2型星だ。誕生から60億年と太陽より15億年古く、温度は同程度、直径は10%大きい。このケプラー452の周囲のハビタブルゾーンに見つかった系外惑星「ケプラー452b」は385日周期で公転しており、直径が地球の1.6倍のスーパーアースと考えられている。太陽のような星の周りのハビタブルゾーンに位置する系外惑星の中では、ケプラー452はこれまで見つかったなかでは最小のものだ。質量と組成はまだ不明だが、これまでの研究から岩石惑星の可能性もあるという。
ケプラー452系と太陽系の大きさの比較
「ケプラー452bは、地球の進化環境を見直したり理解する機会を与えたりしてくれる、年上で大きい地球の『いとこ』と考えることができます。地球よりも長い60億年もの間ハビタブルゾーンに存在し続けてきたと考えると、この惑星上に生命に必要な材料や条件があって生命誕生のチャンスがあると考えるのは当然でしょう」(NASAエイムズ研究センター Jon Jenkinsさん)。
ケプラー452bなどの発見で、これまでにケプラーが見つけた系外惑星の数は1030個、系外惑星の候補の数は4696個になった。
〈参照〉
- NASA: NASA's Kepler Mission Discovers Bigger, Older Cousin to Earth
- Astronomical Journal: Discovery and Validation of Kepler-452b: A 1.6-Re Super Earth Exoplanet in the Habitable Zone of a G2 Star 論文
〈関連リンク〉
- 系外惑星探査衛星「ケプラー」: http://kepler.nasa.gov/
- The Extrasolar Planets Encyclopaedia: http://exoplanet.eu/
- 星ナビ.com こだわり天文書評:
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