アルマ望遠鏡、星間空間に新たな有機分子を検出

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アルマ望遠鏡の観測により、天の川銀河の中心「いて座A*」から300光年離れたところにある巨大な星形成領域「いて座B2」から、枝分かれした構造を持つ有機分子「イソプロピルシアニド」に由来する電波が検出された。

【2014年10月1日 アルマ望遠鏡

ドイツ・マックスプランク電波天文学研究所のArnaud Bellocheさんが率いる国際研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて星間空間に新たな有機分子を検出した。この分子はイソプロピルシアニド(i-C3H7CN)と呼ばれる分子で、既に星間空間に存在が知られていた分子(プロピルシアニド)の異性体(同じ数・同じ種類の原子からできているが構造が異なる分子)だ。

プロピルシアニドとイソプロピルシアニドの大きな違いは、この分子の「背骨」にあたる炭素原子の並び方にある。プロピルシアニドでは炭素が一直線に並んでいるのに対し、発見されたイソプロピルシアニドはこの「背骨」が枝分かれしている(画像)。観測から、イソプロピルシアニドの存在量はプロピルシアニドの存在量の半分程度であることがわかっており、今回の発見は、こうした「枝分かれした炭素の背骨」を持つ有機分子が宇宙に豊富に存在していることを示すものとして注目されている。

こうした分子は、星間空間に漂う塵(固体微粒子)の表面を覆う薄い氷の層の中かその上で作られると考えられていおり、Bellocheさんは「星間空間で枝分かれした分子が豊富に作られているということは、タンパク質のもとになるアミノ酸が作られる可能性も高いと考えられます」と話している。

波長860μmの電波で見た天の川銀河の中心領域
波長860μmの電波で見た天の川銀河の中心領域。「いて座B2」で、イソプロピルシアニドとプロピルシアニドの両方から放たれる電波が検出された。クリックで拡大(提供:MPIfR/A. Weiß, University of Cologne/M. Koerber, MPIfR/A. Belloche.)

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