形成中の系外惑星に衛星の材料を持つダストリングが存在する可能性

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系外惑星「PDS 70 c」の周囲に存在する塵が、円盤ではなく輪のように分布している可能性が理論研究で示された。塵の輪は衛星の材料になる可能性もある。

【2026年9月8日 鹿児島大学

太陽以外の恒星を回る系外惑星は、これまでに6000個以上発見されている。その研究が進むにつれて「惑星形成論」が進展し、太陽系がどのように作られたのか、太陽系が特殊なのか普遍的なのかという謎に迫る手がかりが得られつつある。ただし、惑星形成について調べることができる形成中の系外惑星の発見数は、これまでに10例ほどしかない。

そのような希少な例の一つが、ケンタウルス座の方向約370光年の距離に位置する形成中の若い恒星「PDS 70」系だ。複数の惑星が発見されており、そのうちの「PDS 70 c」は木星の10倍程度の質量を持つ巨大ガス惑星とみられている。PDS 70 cは、サブミリ・ミリ波といった電波でも検出された唯一の系外惑星であり、その電波はガスがPDS 70 cに集積していく過程で惑星の周囲にできる「周惑星円盤」に含まれる塵(ダスト)の熱放射に由来すると考えられている(参照:「系外『衛星』を生み出す円盤の姿をとらえた」)。

PDS 70系の全体像とPDS 70 c
アルマ望遠鏡がとらえたPDS 70系。(左)全体像。(右)PDS 70 c周辺のクローズアップ。PDS 70 c(中央の光点)の周囲に周惑星円盤を構成する塵が見える(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/Benisty et al.

近年のアルマ望遠鏡によるPDS 70 cの観測により、この周惑星円盤がサブミリ・ミリ波帯で光学的に厚いことを示唆する結果が得られていた。これは周惑星円盤内に電波が反対側まで通り抜けられないほど大量の塵が存在することを意味する。しかし、「ドリフトモデル」と呼ばれる従来のモデルでは、塵が特定の場所に集中することはなく、円盤は光学的に薄くなると予測されていた。

これに対して鹿児島大学の芝池諭人さんを中心とする研究チームは、周惑星円盤内に光学的に厚いダストリングの存在を仮定した「ダストリングモデル」(以下、リングモデル)を用いて、大量の塵の謎を解くことに成功した。

研究チームはまずダストリングの簡単なモデルを作成し、周惑星円盤全体から観測される電波の強さが、波長によってどのように変化するかを調べた。その結果、ドリフトモデルではアルマ望遠鏡の多波長観測の結果を再現できないが、リングモデルでは再現可能であることがわかった。

次に、様々なパラメーターで計算を行って観測結果と比較したところ、ドリフトモデルでは、周惑星円盤が光学的に厚くなる条件が非常に厳しいことが示された。塵がどんどん惑星に落下してしまう状況で円盤を光学的に厚くするには、大量の塵を周惑星円盤に供給し続ける必要性があるからだ。一方、リングモデルでは、円盤全体に塵が充満しなくても、円盤の一部に輪状に塵が集中し、その部分だけ光学的に厚くなればよいので、円盤への塵の供給量は少なくて済む。

また、アルマ望遠鏡では周惑星円盤を空間解像できないため、ダストリングからの放射が十分に強ければ、円盤全体が光学的に厚いように「見える」ことになる。これらの考察から、リングモデルでは容易に達成可能な条件で観測結果を再現できることが示された。

PDS 70系のダスト熱放射
(左)アルマ望遠鏡によるPDS 70系のダスト熱放射観測。ビームサイズ(左下の白い楕円)がPDS 70 cの周惑星円盤よりも大きいため、周惑星円盤は解像できていない。(右)リングモデルが予測する周惑星円盤のダスト熱放射強度マップの想像図。次世代の大型電波望遠鏡計画「ngVLA望遠鏡」の観測を想定してあり、リング構造が見える(提供:鹿児島大学リリース)

惑星へのガス集積過程を数値シミュレーションした先行研究では、円盤内の外向きのガスの流れによって塵の落下が妨げられ、ダストリングが形成される可能性が示されていた。今回の研究はシミュレーションの結果を支持するものだ。さらに、観測を再現するようなダストリングであれば、その後の衛星形成につながるほど十分な塵が存在する可能性も示している。

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