5月に極大を迎える変光星、しし座Rを見よう
【2023年4月3日 高橋進さん】
しし座Rは約310日の周期で5等から11等まで変光する、ミラ型の脈動変光星です。最近の10年間で周期が最も短かったのは2012年の301日、最長は2013年の317日と、あまり大きく変わることはありません。前回の極大が2022年7月9日で、最近の10年間の平均周期が312日であることから、筆者の予想では今季は5月17日に極大を迎えると考えています。ミラ型変光星の極大予報は各天文誌や研究団体などから出されていて、場合によっては1か月以上の差が出ることもありますが、このしし座Rについては全て5月10日から17日の間に入っており、あまり大きくずれる事はないでしょう。
しし座Rの光度(VSOLJのデータベースから高橋さん作成、以下同)
ただし、極大光度はその時々で変化があります。明るい時は4.5等くらいになりますが、暗ければ6等以下の時もあります。長期の観測によると7~8年で明るい極大と暗い極大を繰り返すとみられ、今回は暗い極大になるかもしれません。ミラ型変光星では暗い極小の後は極大も少し暗めになることが多く、しし座Rの今年1月の極小が10.7等ほどと暗めだったことから、5月の極大は6等程度にとどまる可能性があります。
また、最近の光度曲線を見ると、3月になって増光が停滞しています。ミラ型変光星では明るくなっていく時期に一時的に増光が止まったり、一度減光した後にまた増光したりすることもあります。こうした現象はぎょしゃ座Rやケフェウス座Tなどで顕著に見られますが、しし座Rでもたまに見られます。ただ、あくまでこれは一時的な現象で、4月からはまた急速に明るくなっていくでしょう。
増光期に光度停滞がある例、ぎょしゃ座Rの光度
しし座Rはしし座α星レグルス(1.4等)の約5度西、ライオンの前足にあたるο星スブラ(3.5等)から北東に2度のところにあります。6等の星が斜めに並んだすぐ南にあるので見つけやすいでしょう。また、しし座Rは「紫色に近いバラの赤さ」と言われるように赤い色が際立っていて、視野に入ってくればすぐにわかります。双眼鏡でも観測できる星ですので、ぜひ観測してお楽しみください。
しし座R周辺の星図。数字は恒星の等級(64=6.4等)を表す(「ステラナビゲータ」で星図作成)
〈関連リンク〉
- 日本変光星研究会
- VSOLJ Variable Star Bulletin
- アメリカ変光星観測者協会
- アストロアーツ:
- 「星ナビ」2023年5月号 Observer's NAVI「この冬の変光星近況」
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