オウムアムアやボリソフ彗星の起源は太陽系外

このエントリーをはてなブックマークに追加
天体の軌道の分布に着目した研究から、恒星間天体「オウムアムア」と「ボリソフ彗星」の起源が太陽系外である可能性が高いことが示された。

【2020年1月24日 RISE月惑星探査プロジェクト

2017年に発見された「オウムアムア(1I/'Oumuamua)」と2019年に発見された「ボリソフ彗星(2I/Borisov)」はどちらも、今後二度と太陽系には戻らない極端な双曲線軌道をもつ天体だ。その運動の様子から両天体は、オウムアムアの発見をきっかけに新設された「恒星間天体」というカテゴリーに分類されている。

オウムアムアの想像図とボリソフ彗星の画像
(左)オウムアムアの想像図、(右)2019年12月9日(世界時)、太陽最接近直後のボリソフ彗星(提供:(オウムアムア)ESO / M. Kornmesser、(ボリソフ彗星)NASA, ESA, and D. Jewitt (UCLA))

こうした双曲線軌道にある天体の起源としては、星間空間を浮遊する小天体が偶然太陽系内部を通過したというものと、太陽系内の天体が何らかの力を受けることで楕円軌道から双曲線軌道へと変化したというものが考えられる。これまで、オウムアムアとボリソフ彗星は前者だと考えられてきた。

国立天文台の樋口有理可さんと小久保英一郎さんは、両天体が本当に太陽系外起源の天体なのか、それとも太陽系の果てに広がる「オールトの雲」からやってきた太陽系内天体なのかを確かめる研究を行った。

樋口さんたちはまず、恒星間空間を浮遊していた天体が太陽系内へ飛来した場合と、オールトの雲の天体が他の天体の重力で加速される場合について、どの程度の確率でどういった軌道になるかをシミュレーションで調べ、それぞれの軌道の分布を調べた。その分布と観測された両天体の軌道とを比較したところ、オウムアムアとボリソフ彗星はこれまでに考えられていたとおり恒星間天体である可能性が高いことが示された。

今後も極端な双曲線軌道を描く天体の発見が続くとみられている。それらについて、質量や明るさ、速度の分布の理論研究が進めば、太陽系の内と外との関係について、より詳しい議論ができるようになると期待される。

研究の概念図
研究の概念図。太陽系外起源の天体(赤)と、オールト雲起源の彗星(青)が木星質量程度の天体(白)の影響で極端な双曲線軌道を持つ場合が描かれている(提供:国立天文台)

〈参照〉

〈関連リンク〉