太陽に似た星を巡る、木星の双子のような系外惑星

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ヨーロッパ南天天文台の観測で、年齢・組成ともに太陽に似た恒星の周りを回る、木星の双子のような系外惑星が見つかった。

【2015年7月22日 ヨーロッパ南天天文台

ヨーロッパ南天天文台ラ・シーヤ観測所の口径3.6m望遠鏡に備え付けられた分光器「HARPS」を使って太陽のような星を観測し、太陽系に似た系外惑星系の発見に挑み続けてきた研究チームが、質量や年齢、組成が太陽と似た恒星の周りに、中心星からの距離や質量が木星とそっくりの系外惑星を発見した。

観測対象となった系外惑星系HIP 11915は、くじら座の方向約190光年彼方に位置している。これまでにも、太陽に似た星の周りにさまざまな公転軌道を持つ木星に似た系外惑星が発見されてきたが、そのなかでも今回の系は、軌道や質量の点で中心星、系外惑星ともに太陽と木星に似ているものだ。

HIP 11915とその周りを回る木星質量の系外惑星
HIP 11915とその周りを回る木星質量の系外惑星の想像図(提供:ESO)

木星と同じような公転軌道と質量を持つ惑星の存在は、第二の太陽系の可能性を示唆するものだ。中心星も太陽と似ているということは、太陽系と同様に岩石惑星が中心星の近くを回っているのかもしれない。

太陽系の配列は、木星の存在と太陽系形成時に及ぼした木星の重力の影響によって可能になったという説もあり、木星の双子とも言えるような天体は太陽系のような惑星系発見の重要な鍵となりうるわけだ。

「系外惑星探しが始まって20年。ついに私たちは、木星のような軌道や質量の系外惑星を太陽系に似た系に発見し始めるに至りました。宇宙にはまだこのほかにも、太陽系に似た系が存在し、発見されるのを待っていることでしょう」(米・シカゴ大学のMegan Bedellさん)。

まだ追加観測による確認が必要とされている状況ではあるものの、HIP 11915が、太陽系に似た系探しの最有力候補の一つであることは間違いなさそうだ。