小嶋さん西村さん中村さん、いて座に新星を発見

このエントリーをはてなブックマークに追加
4月8日、いて座に約11等級の新星が出現し、小嶋正さんと西村栄男さんがほぼ同時に発見した。中村祐二さんも独立発見している。

【2018年4月日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(京都大学)

新星は天の川銀河の中心方向に見える星座の中に多く発見される傾向がありますが、そのような星座の一つ、いて座の中に、新たな新星が発見されました。新星を発見したのは群馬県嬬恋村の小嶋正さんと、静岡県掛川市の西村栄男さん、三重県亀山市の中村祐二さんです。

小嶋さんは4月8.723日(世界時、以下同。日本時では9日2時20分ごろ)に焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラを用いて撮影した画像から、西村さんは4月8.728日(日本時では9日2時30分ごろ)に同じく焦点距離200mmのレンズとデジタルカメラを用いて撮影した画像から、11.2等の新天体をそれぞれ独立に発見しました。また、中村さんも4月8.788日(日本時では9日3時55分ごろ)に焦点距離135mmのレンズとCCDカメラを用いた画像からこの天体を11.3等の新天体として独立に発見しました。

千葉県の清田誠一郎さんや野口敏秀さん、山口県の吉本勝己さん他による観測によると、この天体の正確な位置は以下のとおりです。

赤経  18h04m09.46s
赤緯 -18°03′55.9″(2000年分点)

いて座の新星(小嶋さん) いて座の新星(西村さん)
いて座の新星の発見画像。それぞれ画像クリックで表示拡大(撮影:(1枚目)小嶋さん、(2枚目)西村さん)

いて座の新星の位置
いて座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

岡山県の赤澤秀彦さんは4月9.827日(日本時では10日4時50分ごろ)にこの天体の分光観測を行い、この天体のスペクトルにP Cygプロファイルを持つHα輝線が見られることを報告しました。また、米・キット・ピークのMDM天文台の2.4m望遠鏡を使った観測によると、Hα以外の水素のバルマー系列や1階電離した鉄もP Cygプロファイルを持つ弱い輝線として見られることが報告されており、これらのスペクトル特徴から、この天体が古典新星であると判明しました。

小嶋さんと西村さんは3月10日以来、また中村さんは3月24日以来の新星発見です。