さそり座に今年3個目の新星が出現

このエントリーをはてなブックマークに追加
2月24日、さそり座に約14等級の新星が発見された。

【2018年3月5日 VSOLJニュース

著者:前原裕之さん(京都大学)

私たちの天の川銀河の中には、今年に入ってから日本から見えないものも含めると既に5個の新星が発見されていますが、6個目となる新星がさそり座に発見されました。新星を発見したのはAll Sky Automated Survey for SuperNovae(ASAS-SN)のチームで、2月24.36日(世界時。日本時では24日17時40分ごろ)にチリのセロ・トロロ天文台に設置された口径14cmの望遠鏡とCCDカメラを使って撮影した画像から14.3等の新天体(ASASSN-18ds)を発見しました。この天体の位置は以下のとおりです。

赤経  17h03m47.51s
赤緯 -38°16′57.1″(2000年分点)

さそり座の新星
さそり座の新星の確認観測画像(撮影:清田誠一郎さん)

さそり座の新星の位置
さそり座の新星の位置。画像クリックで星図拡大(「ステラナビゲータ」で星図作成)

さそり座の領域に現れたものとしては西村栄男さんが1月2月に発見した新星に続き、今年3個目となります。

2月25日にチリ・ラシーヤ天文台の3.6m望遠鏡で行われた分光観測から、この天体のスペクトルには水素のバルマー系列や1階電離した鉄の輝線が見られることがわかりました。また、27日に南アフリカ大型望遠鏡(SALT)で行われた分光観測では、前述の水素や鉄に加えて中性の酸素や1階電離したカルシウム等の輝線が見られた他、これらの輝線がP Cygプロファイルを示すこともわかりました。このようなスペクトルの特徴から、この天体が古典新星であることが判明しました。

AAVSOなどに報告された観測データによると、この新星は3月1日に12等ほどにまで増光しており、今後の明るさの変化等が注目されます。