「ニューホライズンズ」の次の目標天体が星を隠す現象、観測成功
【2017年7月25日 NASA】
2年前に冥王星をフライバイ(接近通過)し、数々の写真やデータをもたらした探査機「ニューホライズンズ」は現在、次の探査目標天体である太陽系外縁天体2014 MU69を目指して旅を続けている。2014 MU69は太陽から65億kmも離れており、冥王星よりもさらに15億kmほども遠い。ニューホライズンズによる2014 MU69のフライバイ予定日は2019年1月1日だ。
この2014 MU69の直径は約22kmから40kmほどと見積もられているが、小さく遠いために天体の詳細はよくわかっていない。これまでの観測ではハッブル宇宙望遠鏡のみがその姿をとらえることに成功していたが、大きさや形を決定するにはいたっていなかった。
今月17日、米・サウスウエスト研究所のMarc Buiceさんたちの研究チームはアルゼンチンに24台の移動式天体望遠鏡を設置し、2014 MU69が背後の恒星を隠す掩蔽現象の観測を試みた。星の光が消えている時間や明るさの変化の様子を観測することにより、2014 MU69の大きさや形、軌道、周辺の環境などに関するデータが得られると期待される。地球上のどこで現象が見られるかを調べる際には、ハッブル宇宙望遠鏡とヨーロッパ宇宙機関の位置観測衛星「ガイア」のデータが活用された。
観測は見事に成功し、星の光が消える様子がとらえられた。今回の観測に一役買ったのはアルゼンチンの研究者や政府関係者、そして地元住民たちだ。観測の間、主要な国道を封鎖したり街灯を消して街明かりをなくしたりするといった協力なくしては、成功は得られなかっただろう。
今回の観測は6月3日にアルゼンチンと南アフリカで、7月10日にニュージーランド沖で(空中天文台から)行われた観測に続くものだ。「発案から6か月、3台の宇宙望遠鏡や探査機と24台の移動式望遠鏡、さらに空中天文台まで駆り出した2014 MU69観測キャンペーンは、天文学史上最も野心的な掩蔽観測でしたが、私たちはやり遂げました。今回の成功のおかげで、1年半後のフライバイはさらに自信をもって計画できます」(サウスウエスト研究所 Alan Sternさん)。
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