彗星同士の衝突で作られた、フォーマルハウトの環

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みなみのうお座の1等星フォーマルハウトを取り巻く環の全体像がアルマ望遠鏡によって観測された。環は彗星同士の衝突で作られたものと考えられている。

【2017年5月22日 ALMA

アルマ望遠鏡による観測で、25光年彼方に位置するみなみのうお座の1等星フォーマルハウトを取り巻く環の全体像が描き出された。アルマ望遠鏡は2012年にもフォーマルハウトを撮影していたが、そのときには環の半分しか観測されていなかった。今回の完全な環の画像は、単に美しいだけでなく、化学的な特徴が太陽系の彗星と似ていることも示唆している。

フォーマルハウトを取り巻く環
アルマ望遠鏡(オレンジ)とハッブル宇宙望遠鏡(青)で撮影した、フォーマルハウトを取り巻く環。ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた可視光線での写真は、星の周りを鮮明に写し出すために「コロナグラフ」を使って星の光を隠している(提供:ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), M. MacGregor; NASA/ESA Hubble, P. Kalas; B. Saxton (NRAO/AUI/NSF))

フォーマルハウトの年齢は4億歳ほどで、太陽よりはずっと若いものの、やや進化が進んだ星である。こうした大人の星を取り巻く塵の環(デブリ円盤)は、これから惑星ができていく現場ではなく、ある程度出来上がった惑星系の外縁部で彗星や小天体が互いに衝突したあとの塵でできていると考えられている。

今回の観測とコンピュータモデルの解析から、この環がフォーマルハウトから約200億kmの距離にあり、幅は約20億kmであることがわかった。また、詳細な環の形状や、細い環が惑星の重力の影響下で作られたことが確認された。

さらに、環の中でも星から遠い位置が明るく輝くという理論的に予測されていた現象が初めて確認された。天体の周囲を楕円軌道で回る物体は、星から最も遠い場所ではゆっくりと動くが、フォーマルハウトの環の場合も、星から遠い場所では塵の公転速度が落ちるため、塵が渋滞し、密度が高くなることで強い電波を出しているのである。

「環の様子を驚くほど鮮明に写し出すことができました。形がより良く見えたことで、環に影響を及ぼす惑星系について多くのことを知ることができるのです」(米・ハーバード・スミソニアン天体物理学センター Meredith MacGregorさん)。

一方で、分子ガスが放つ電波に注目すると、一酸化炭素ガスが塵の環と同じ場所に分布していることもわかった。「新しいデータによって、フォーマルハウトの一酸化炭素と二酸化炭素を合わせたガスの相対存在量が、太陽系の彗星における値と似ていることがわかりました。フォーマルハウト惑星系の外縁部と太陽系で、彗星の形成条件が似ていた可能性を示すものです」(英・ケンブリッジ大学 Luca Matràさん)。

ガスの起源については、たくさんの彗星の衝突が断続的に起こったことによって供給された、あるいはヘール・ボップ彗星の何百倍も大きな巨大彗星の衝突が一度だけ起こったことによって供給された、という2つの可能性が考えられている。

太陽系ではおよそ40億年前の「後期重爆撃期」に、太陽系形成時に作られてその時期まで残っていた大量の小惑星や彗星が、すでに形作られていた地球やほかの惑星に雨のように降り注いだと考えられている。フォーマルハウトの周りにこれほどはっきりとした環があり、その組成が太陽系と似ているということは、後期重爆撃期と同じような現象がフォーマルハウトの周りで起こっているのかもしれない。