機械学習とビッグデータで太陽フレアの発生予測精度を向上

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機械学習とビッグデータを用いたモデルの開発により、太陽フレアの発生予測精度を格段に向上させることに成功した。フレアの発生メカニズム解明やリアルタイムの宇宙天気予報につながる成果だ。

【2017年2月14日 NICT

太陽活動によって地球周辺環境は大きな影響を受ける。とくに、太陽面での爆発現象である太陽フレアが発生すると、大量の放射線や有害な粒子が地球に降り注ぎ、通信や電力網、人工衛星の運用など社会生活に影響を及ぼすことがある。

こうした影響に対して早期に対策を取るため、地球周辺環境の変化予測「宇宙天気予報」が広く求められている。情報通信研究機構(NICT)では毎日、宇宙天気予報を行って、広く一般に情報を配信している。

宇宙天気予報会議の様子
宇宙天気予報会議の様子(提供:NICT、以下同)

近年、人工衛星による太陽監視体制が整ってきてはいるものの、膨大な量の観測データの処理は困難であるなどの理由により、従来の宇宙天気予報の予報精度は長い間上がっていなかった。

NICT・電磁波研究所の西塚直人さんたちは、複数の機械学習の手法を太陽観測データに適用することで、人間では処理しきれない大量の情報による統計的な予測を行う新しい技術を開発した。学習データ作成には、NASAの太陽観測衛星「SDO」による高分解能データ30万枚というビッグデータを用い、約60個の黒点の特徴に注目した。また、特徴の検討には、長年にわたる宇宙天気予報の経験を反映させた。

その結果、従来は5割弱程度だった太陽フレアの予測精度を、世界トップクラスとなる8割超に向上させることができた。また、太陽フレア発生前に現れる特徴の重要度も機械学習によるデータ分析から明らかになり、磁気中性線の長さや本数、彩層低部の発光面積といった特徴も重要であることがわかった。

太陽フレア発生の予測モデルのフローチャート
太陽フレア発生の予測モデルのフローチャート(概要図)

今回の研究成果により、太陽フレアの謎を解く鍵が得られたとともに、リアルタイムの宇宙天気予報への道がひらかれた。NICTでは、宇宙天気の影響に対してより早期の対策準備ができるよう、さらに検証を重ね実用化を進めていく意向である。

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