球状星団の中心に潜む中間質量ブラックホール

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球状星団「きょしちょう座47」の中心に、太陽2,200個分の質量を持つ中間質量ブラックホールが隠れていることを示す証拠が見つかった。

【2017年2月9日 CfA

現在知られているブラックホールは2タイプに分けられる。太陽の数倍程度の質量を持つ恒星質量ブラックホールと、太陽質量の数百万倍から数十億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールだ。

一方、太陽質量の100倍から1万倍という中間質量ブラックホールについては、存在は予測されてきたものの決定的な証拠は見つかっていなかった。

米・ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのBulent Kiziltanさんたちの研究チームは、球状星団「きょしちょう座47」の中心に、太陽2,200個分の質量を持つ中間質量ブラックホールが隠れていることを示す証拠を発見した。この星団は、きょしちょう座の方向1万3000光年の距離にあり、直径120光年ほどの球状の領域に年齢120億歳の星が数十万個ほど集まっている。

中間質量ブラックホールの想像図
きょしちょう座47の中心の中間質量ブラックホールの想像図(提供:B. Kızıltan & T. Karacan)

これまでにも、きょしちょう座47での中間質量ブラックホール探しは行われてきたが、見つかっていなかった。多くの場合、ブラックホールは、その周囲を取り巻く高温の円盤から放出されるX線を探すことによって見つけられるのだが、その方法はブラックホールが周囲のガスを活発に飲み込んでいるときだけしか使えない。きょしちょう座47の中心部にはガスがないので、そこにブラックホールが潜んでいても、この方法では見つけられない。

また、ブラックホールの強力な重力によって近くの星の運動に影響が生じるので、その様子を観測することでもブラックホールの存在を知ることができるが、きょうしちょう座47の中心部は密集しているため個々の星の動きを見ることは不可能である。

では今回はどのようにして存在を突き止めたのだろうか。まず1つ目の証拠は、星団全体の星の動きから得られた。

球状星団は密集度が非常に高く、こうした環境では重い星は星団の中心へと沈んでいく傾向にあるが、星団中心に中間質量ブラックホールがあると、ブラックホールがスプーンのように星をかき回して、重い星々が高速で遠くへ飛ばされる。星の動きと距離に関するシミュレーションと、可視光線観測の結果とを比較することで、こうした現象の証拠が見つかった。

第2の証拠は球状星団中のパルサーの観測から得られた。パルサーもまた、星団中心のブラックホールの重力によって遠くへ投げ飛ばされる。ブラックホールがないと考えた場合と比べて遠いところでパルサーが見つかったので、ブラックホールはあると考えられる。

これらの証拠から、太陽質量2,200個分の中間質量ブラックホールの存在が示唆されることとなった。

きょしちょう座47のブラックホールが長い間、検出から逃れていたように、他の球状星団にも、同様の中間質量ブラックホールが隠れているかもしれない。