世界初、重力レンズ効果による偏光Bモードを観測

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宇宙最古の光である宇宙マイクロ波背景放射(CMB)の、偏光観測の結果だけに基づいて、重力レンズ効果による偏光パターンが世界で初めて測定された。測定が可能であることを実証した今回の成果は、将来の原始重力波の観測やニュートリノ質量和の精密測定につながると期待される。

【2014年10月22日 高エネルギー加速器研究機構

宇宙マイクロ波背景放射(CMB)は、138億年前に発せられた「宇宙最古の光」だ。宇宙のどの方向にも一様に観測される電磁波が、宇宙の誕生と進化、その背後にある物理法則の謎を解く鍵を握っていると考えられている。特にCMBの偏光(光の振動の向き)を観測して、「偏光Bモード」と呼ばれる特殊な渦状のパターンを調べることが重要視されている。

カブリIPMUや高エネルギー加速器研究機構(KEK)などが参加する国際研究チーム「POLARBEAR実験」は、南米チリにある口径3.5m望遠鏡と最先端の超伝導検出器を用いて、「小さな渦の偏光Bモード」を99.999%以上の確率で世界で初めて観測することに成功した。「小さな渦の偏光Bモード」とは、CMBが地球に届くまでの間に宇宙空間の物質から受ける重力効果により現われるもので、これを精密に測定できれば宇宙に存在するニュートリノの総質量がわかり、宇宙の大規模構造への理解が大きく進むと考えられている。

チームでは今後、さらに広い観測や受信機の性能向上を行い、「大きな渦の偏光Bモード」の精密観測も目指す予定だ。大きな渦の偏光Bモードは、誕生直後の宇宙が急激に膨張(インフレーション)した際に時空が振動して生じた「原始重力波」で作られたと推測されるもので、これを観測することで初期宇宙の誕生のようすが明らかにできると期待される。

POLARBEAR望遠鏡
チリ・アタカマ高地に設置されたPOLARBEAR望遠鏡(提供:KEK/POLARBEARコラボレーション)