巨大楕円銀河に見られる星形成の自己制御サイクル

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巨大楕円銀河の中心のブラックホールから噴出するジェットに沿った、高温で青い星の集団がとらえられ、ブラックホールとジェット、星々とが織りなす、星形成のユニークなプロセスが明らかになった。

【2015年8月11日 HubbleSite

一般的に楕円銀河では、新しい星の形成があまり活発ではない。星の材料となるガスが大量にあったとしてもだ。ハッブル宇宙望遠鏡(HST)をはじめとする天文衛星や地上の望遠鏡を用いた観測とシミュレーションの結果から、楕円銀河の中心のブラックホールとそこから噴出するジェットが星形成をコントロールしている様子が見えてきた。

米・ミシガン大学のMegan Donahueさんらの研究チームは遠方の楕円銀河を観測し、一部の銀河で星形成が起こっている様子をとらえた。また米・エール大学のGrant Tremblayさんらの研究チームは、中心で星が誕生している近傍の楕円銀河を観測した。いずれの場合も、星形成はフィラメント状や塊状の分布が見られた。

楕円銀河の中心のブラックホールから噴出するジェットに沿って新しく生まれた星が分布していることから、これらの間には関連があるとみられている。

さらに、ブラックホールとジェット、新しく誕生した星は、全体で一つの「自己制御」サイクルを作り上げているようだ。

ジェットの活動によって銀河の外の方へ運ばれたガスは冷やされて星を作るが、その一方で銀河中心部に留まっているガスはブラックホールによって暖められる。このとき、外に運ばれたガスが冷えすぎると、冷えたガスは星を生成しながら銀河中心に再び落ち込むので、ブラックホールのジェットの材料となる物質が増える。

このためにジェットがより強力になってガスの温度が上がる。ジェットが強くなりすぎるとブラックホールに落ち込んでジェットを生み出すガスが減るために結局ジェットは弱まる。こうしたサイクルのバランスによって、楕円銀河で爆発的な星形成は起こらないということのようだ。

(上段)楕円銀河「MACS J1931」と「MACS J1532」の中心に存在するガスの密度、(下段)それぞれの銀河に関するコンピュータシミュレーション
(上段)HSTが遠紫外線で観測した楕円銀河「MAC J1931」と「MAC J1532」中心のガスの密度、(下段)コンピュータシミュレーションの結果(提供:NASA/ESA/M. Donahue/Y. Li)