謎の“黄色い玉”は、デビュー寸前の重い星

このエントリーをはてなブックマークに追加
重い恒星が次々と生まれる領域に、黄色い玉のような天体が多数見つかっている。生まれつつある星の知られざる一段階の姿と考えられている。

【2014年1月29日 NASA

スピッツァーの画像から見つかった「黄色い玉」
スピッツァーの画像から見つかった「黄色い玉」。小さく見えるが、それぞれが太陽系の数百~数千倍のサイズだ(提供:NASA/JPL-Caltech。以下同)

赤外線天文衛星「スピッツァー」がとらえた画像から、明るい星々が生まれる領域に黄色い玉のような天体が900個以上見つかっている。赤外線の観測波長ごとに擬似色を割り当ててカラー化した結果、画像上では黄色い玉に見えるだけで、天体本来の色が人の目に黄色く感じられるわけではない。

この天体はボランティアが画像をチェックして見出したものだ。指摘を受けて米・アイオワ州立大学のCharles Kertonさんら研究者が調べたところ、これらは太陽の10~40倍の重さの星が生まれる途上の姿であることがわかってきた。暗い分子雲の中で星の胎児が作られ、この黄色い玉になり、やがて星からの放射や恒星風で有機分子が吹き飛ばされて「緑の泡」となる。緑色は有機分子を表し(言い換えれば、緑色に割り当てられた波長の赤外線は有機分子の存在に由来するもので)、その中を満たす温かい塵は赤く示される。緑と赤が広がる前、この2つの色が重なって黄色く見えていたのだ。

時系列で見る大質量星の誕生
大質量星の誕生を時系列で並べたもの。左から原始星→黄色い玉→緑の泡と進化していく。この緑の泡も、同じプロジェクトで見出されたものだ

黄色い玉は緑の泡に沿って分布しているように見え、泡の広がりが新たな星形成を誘発している可能性もある。一方で、もしこの誘発効果があるのならもっとたくさんの黄色い玉が泡の周囲に見られるはずという疑問もあり、さらなる分布調査が待たれるところだ。